もはや日本は「景気後退」に入ったかもしれない 「インフレで売上増」のバイアスも消えてきた

✎ 1〜 ✎ 96 ✎ 97 ✎ 98 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

街角景気の調査である景気ウォッチャー調査と家計の調査である消費動向調査の乖離については、エコノミストの間では1つの謎となっていた。

しかし、データが蓄積されてきたことにより、この乖離の謎はほとんど解けてきた。結論を先に述べると、両者の乖離はインフレが理由である可能性が高い。両者の差とCPI(生鮮食品を除く財、前年同月比)を並べると、かなり近い動きをしている。

すなわち、インフレ高進局面(実質賃金の低下局面)では、家計の消費マインドそのものである消費動向調査は大きく悪化する傾向があるようである。

企業サイドの「上方バイアス」

他方、景気ウォッチャー調査は企業サイドの調査であることによる上方バイアスがあると、筆者は考えている。

まず、景気ウォッチャー調査の回答企業が「インバウンド消費」も家計動向に含めてしまっている可能性がある。

また、インフレ局面では企業が「貨幣錯覚」に陥っている可能性もある。景気ウォッチャー調査のコメント集では前年と比べた売上高について言及されることが多いが、これらは名目値である。

回答者が経営者であればインフレによって売上高が膨らんだとしても景気が良いとは判断しないとみられるが、当該調査の回答者は現場の担当者が多い。結果的に、家計は実質消費が重要でも、企業は名目売上高を重視してしまっている(貨幣錯覚)可能性があるだろう。

次ページ「インフレ均衡にシフト」に反する声
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事