ホンダ系部品会社に「リストラの嵐」が吹く根因 ホンダの生産台数は最盛期の6割、中国系開拓へ
足下で部品メーカーは動き出している。売上高に占めるホンダ向けの割合が9割以上を占める自動車シート大手のテイ・エステックは、中国拠点での設備自動化への投資に加え、雇用形態見直しや業務統合による要員の最適化に着手した。
足回り部品が主力のエフテックは中国2工場での部門統合による人員の集約や部品の内製化を通じてコストの抑制を図る。エイチワンは溶接ラインを統廃合し固定費を引き下げる。
加えて各社が進めているのが“脱ホンダ”の動きだ。
中国勢への売り込みを強化
減速ユニットなどのギア部品が主力の武蔵精密工業は、中国BYDのEV(電気自動車)・PHV(プラグインハイブリッド車)向けにサスペンションボールジョイントを受注した。武蔵精密では、ここ数年でBYDの複数モデル向けの部品受注に成功。それ以外にも複数の中国EVメーカーへの拡販が進んでいる。
大塚浩史社長は「中国市場で伸びているのは現地の民族系。ここを取っていかないとじり貧になる。コモディティ化した誰でもできる部品ではなく、品質や価値の高い部品を狙っていく」と意気込む。同社の2023年度中国事業は売上高が前期比5%増の338億円、営業利益が同6%増の9億円となった。
J-MAXは中国の車載電池大手CATLと電池関連部品の取引を拡大している。全社売上高が500億円規模の中、約60億円を投じて福建省に新工場を建設。これらを通じてCATL向け売上を4年後に4倍の80億円まで引き上げるという。エイチワンやテイ・エステックなども現地の中国EVメーカーへの拡販を進めており、ホンダの低迷した売上を現地開拓で埋めようと模索する。
もっとも中国勢への売り込みには懸念もある。中国市場では新興EVメーカーを中心に「台数優先でなりふり構わない値引き合戦になっている」(トヨタ自動車幹部)。「部品も買い叩かれて、とてもではないがビジネスとして成り立たない。数量を優先しすぎて、赤字でも途中で抜けられない可能性がある」(ホンダ系部品メーカー幹部)と警戒の声も上がる。
だからといって、既存ビジネスで食っていけないこともはっきりしている。アリックスパートナーズによると、中国市場における中国勢のシェアは2022年の45%から2030年には65%まで高まると予測する。その分、日本勢や欧米勢は押し出される。部品メーカーとしては中国勢向けを伸ばすしかない。
ホンダ系部品メーカーの多くが、ホンダが新車の生産工場を置いている広州市と武漢市向けに2拠点を構えている。今後ホンダの低迷が続けば拠点の閉鎖や集約など更なる踏み込んだ対応を求められることになりそうだ。
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