ホンダ系部品会社に「リストラの嵐」が吹く根因 ホンダの生産台数は最盛期の6割、中国系開拓へ
2023年度のホンダの中国での販売台数は122万台だった。前期比では2.5%減と落ち込みは小さく見えるが、2020年度の179万台に対しては68%の水準だ。部品メーカーの業績に直結する生産台数は2023年度に116万台。ピークだった2020年度の187万台の62%でしかない。
「期初にホンダが示していた台数より10万台単位で少なかった。準備していた生産設備や人員が余剰となり、固定費が重くなった」と、複数のホンダ系部品メーカー幹部は口をそろえる。
もっとも、各部品メーカーの中国事業のリストラはこれで終わりとなりそうにない。
ホンダも中国事業のリストラを進める
ホンダは昨年末に広州汽車集団との合弁会社である広汽ホンダで全従業員の7%に当たる派遣社員約900人の契約を前倒しで終了した。さらに広汽ホンダでは生産領域で希望退職を募集し、5月半ばまでに約1700人の応募があったという。
藤村英司CFO(最高財務責任者)は中国事業について、「広汽ホンダや(東風汽車集団との合弁会社)東風ホンダ、子会社も含めて、自然減など入れて3000人ぐらいまで減らすことはやりきった」と説明する。
ただ、青山真二副社長は「(中国での)余剰な生産能力について合弁パートナーと十分な協議を重ねているところだ。今期の予算では(適正化の)関連費用を見込んでいる」と、さらなるリストラを検討していることを明かす。
ホンダによると、中国事業の年間生産能力は広汽ホンダで77万台、東風ホンダで72万台の計149万台。今期は両拠点で年産12万台のEV新工場を新設するため、さらに173万台まで膨れ上がる。
一方で、2024年度の販売計画は前期比16%減、2020年度からは35%減となる106万台を掲げている。現状では台数増の見通しは立っていない状況で、本格的な生産体制の最適化が必要な状況だ。当然、系列部品メーカーも対応を求められることになる。
「どこまでホンダの計画が落ちていくのか。年産90万台でも利益が出るような体質に作りかえないと中国で食っていけなくなる」。あるホンダ系部品メーカーの首脳は憤りながら話す。
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