JR九州、新幹線全通で見えた株式上場への道筋

JR九州、新幹線全通で見えた株式上場への道筋

今年のお盆期間。JR各社の利用状況を見ると、JR九州の数字は群を抜いていた。前年同期比188%。九州新幹線・熊本−鹿児島中央間の数字だ。新幹線の全線開業によって、利用客が前年の2倍近くに増えたのだ。新たに開業した博多−熊本間も、昨年の在来線の利用実績と比べて5割増しとなった。

新幹線なら博多駅から鹿児島中央駅までわずか1時間19分。在来線+新幹線の時代から53分の短縮だ。鹿児島空港は市内から遠いため、実質的な所要時間では飛行機は新幹線にかなわない。スピードアップが利用者増につながったのは間違いない。

しかし、JR九州の実力をスピードだけで片付けてしまうのは早計である。乗ってみればわかる。車両デザインと接客サービス。これこそ、同社の魅力である。

九州新幹線「さくら・みずほ」「つばめ」、ビジネス特急「白いかもめ」といった車両では、西陣織を使った座席もあれば、自由席にもかかわらず革張りの座席もある。他社のグリーン車も顔負けの水準だ。

風光明媚な区間を走る観光列車ともなれば、さらにデザインはユニーク度を増す。ヨーロピアンテイストにあふれた「ゆふいんの森」、老舗の和風旅館を思わせる「いさぶろう・しんぺい」。従来の鉄道車両のイメージを覆したデザインを持つ車両がたくさんある。

車内での接客もJR各社の中で頭一つ抜きんでる。ワゴンサービスにしても、単にコーヒーを売るのではなく、豆の種類を説明し、飲み終えたコップを捨てるゴミ袋まで手渡しする気の配りよう。旅行客の写真を撮り、地元の昔話を紙芝居で説明し、停車時間を利用して列車から降り観光案内してくれる……。そんなサービスもある。

では、なぜJR九州はデザインとサービスにこれほどまでにこだわるのか。それを知るには、これまでの道のりを振り返る必要がある。

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