すべての営業担当に言えることですが、商品の取引条件を勝手に変えることはできません。あらかじめ定められた納入価格、販促条件、納品までの流れがあり、多少融通を利かせることができても、その幅には限界があります。
いままでと同じことをやっていては、必ず先細りになってしまいます。
新商品を紹介し、販促策を売り込むだけではなく、これまでにない層へのアピール方法や売り場づくりといった新たな価値提案をしますが、商品が採用されてもすぐに商品登録から抹消されたり、販促策が早々に切り上げられたりと、苦戦が続いていました。
現場から考えないとうまくいかない
そんななか、ボトラー社で私の担当するコンビニチェーンの営業部隊を取りまとめている小林マネジャーから「ウチの営業会議に参加してみないか」との誘いを受けました。
彼の部隊は1軒1軒の店舗を訪問してお店の実情をつかみ、市場の変化に合わせた売り場づくりや販促を提案することが主な活動です。
仕事は現場から考えないと、うまくいかないことが多いということが経験則としてありますので、逆にこちらからお願いして、会議のメンバーに加えていただきました。
そして会議の当日、現場担当者の皆さんからの報告です。生々しい報告が次々と上がってきます。そのなかで山梨の営業担当の小宮山さんの報告が私の耳に響きます。彼の営業をするうえでの基本的な言葉が、改めて私に問いかけてくれたのです。
「先週も同じオーナーから『もっともうけられる卸値にしてくれないと』と言われたので、『ウチの商品が他社よりも高いのにはちゃんとしたわけがあるのです。こうやってお店を訪問して、どうやったらもっと売れるのだろうかと、一緒に販促策を考えてくれるメーカーがほかにありますか。どんなに卸値が低くても、売れなくては意味がない。
私たちはお店に商品を買っていただくために働いているのではないのです。お店に来るお客さんが喜ぶ商品を提供して、それをもっと多くのお客さんにお店から買っていただくために、仕事をしているのです。
お客さんに買ってもらえるようにいろいろな活動をしているので、この卸値になるのは当たり前なのです。そこが一番大事ではないでしょうか』と、お話ししました」
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