コーラを日本一売った男の心に響いた店主の言葉 肌寒い日の飲料サンプリングに客の反応は鈍く

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まさしくその通りです。それではお客さんに買ってもらえる営業の仕事とはどんなことでしょうか。

飲料業界では新製品が発売される際によくプロモーションを行います。その1つにサンプリングという活動があります。量販店の一角に特設のブースを設けて、来店してくれたお客様に試飲してもらったり、試飲券を配って、新商品の認知度を高めていくのです。

コンビニエンスストア含めフランチャイズシステムで商売をしている店舗では、情報や販促資材が本部から提供されますが、お店に販促を支援する人が来て活動するといったことはまれです。

このため、店舗にとってはメーカーから人がやってきて、新商品が売れるようにアピールする活動は悪い話ではありません。

肌寒い曇天の日のサンプリング

今日はお茶の新商品が発売される初日です。

店頭に製品を並べてその横に置かれた氷の入ったボックスには試飲用のペットボトルがキンキンに冷えています。店の前を歩く通行人や駐車場に入ったクルマのドライバーに試飲していただき、認知度アップと次の購買に結び付けようという目論見で、朝早くからお店にやってきました。

ところがあいにくの曇り空。時折雨粒が落ちてきます。5月とはいえ肌寒ささえ感じる生憎の天気です。

その場で試飲してくれるお客さんはほとんどいません。サンプル品だけ受け取ってさっさと通り過ぎていきます。手渡ししようとすると断られることもあって、散々の状況です。

お昼を過ぎる頃になると、雨で濡れた頭をタオルで拭きながらのサンプリングとなり、新商品を店頭で紹介するという明るい感じではなく、ひたすら試飲用のサンプルを持って走り回るという状況です。

夕方になって片づけに入りますが、ひいき目に見てもよいイメージをお客さんに伝えられたかどうかわかりません。冷却ボックスを洗い、商品の入っていた段ボールを片づけて、店長に御礼を言うために事務所に向かいます。

「今日は、どうもありがとうございました。もう少しといった感じでしたね。申し訳ありません」

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