「開かずの踏切」いつ解消?南武線高架化計画の今 川崎市内の4.5kmがついに前進、立川側でも動き
費用削減の大きなポイントは、高架化工事の工法変更だ。従来の案は、地上にある既存の線路の横にまず「仮線」を敷設し、電車の運行をこちらに一旦切り替えたうえで、もともとの線路があった部分に高架を建設する「仮線高架工法」と呼ばれる方式で検討していた。
これに対し、変更後の工法は仮線を造らず、既存の線路の横に1線(下り線)分の高架を造って下り線を高架線に移し、その後空いたスペースに上り線の高架を造る「別線高架工法」と呼ばれる方式だ。
仮線の建設がいらないため、コストダウンだけでなく工期の短縮も見込めるといい、事業期間は従来案が約21年だったのに対し約16年(どちらも用地取得6年目から着工する場合)に。複線のうち1線の高架切り替えによって「開かずの踏切」が解消されるまでの期間も11年から5年に短くなるという。
完成予定は2039年度
市は2024年度内に都市計画決定と事業認可を得て、用地取得に着手する予定だ。市道路整備課によると、都市計画案の公告・縦覧は5月中に終わっており、今後は都市計画審議会を経て都市計画決定に至る。市は2024年度予算で約33億3000万円を南武線連続立体交差化事業費として計上しており、市道路整備課によると大半は用地取得費に充てられるという。
その後は2029年度に下り線の高架工事を開始、2039年度には上下線の高架化完成という目標を掲げている。予定通り進めば、2033年ごろには下り線が高架に切り替わり、踏切の遮断時間は半減することになる。
全面的な完成までは約15年かかるものの、「開かずの踏切」解消へ大きな一歩を踏み出す。市道路整備課の担当者は「連続立体交差化で踏切が原因の事故や渋滞をなくし、円滑な交通を確保できるようにしたい」と話す。
一方で、高架化工事で生じる課題もある。従来案では約12mだった高架橋の高さは、別線方式だと構造上の理由で約8mになる。ここでネックとなるのが、駅とその周辺に歩行者デッキが張り巡らされている鹿島田駅だ。
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