「開かずの踏切」いつ解消?南武線高架化計画の今 川崎市内の4.5kmがついに前進、立川側でも動き
南武線の最混雑区間は武蔵中原―武蔵小杉間だ。平日朝ラッシュ時の7時台、武蔵小杉駅発の川崎方面行きは1時間当たり18本。反対の立川方面行きも14本ある。8時台は両方面ともさらに多い。
開かずの踏切の1つである平間駅前の踏切には「無謀横断が多発しています」「鳴ったら渡るな!」と物々しい看板が立つ。2021年に遮断時間を極力短くする「賢い踏切」を導入した効果か、列車本数の多い朝7時~8時台でも遮断機が長時間下りたままという状態はそれほど見られない。ただ、一旦遮断機が開いても再びすぐに警報器が鳴り始める。
歩道も狭く、踏切待ちの歩行者にとっては決して安全とはいえない。遮断機が下りる寸前にダッシュで横断する人も少なくなく、6月のある平日の朝は通りかかったパトカーに「危ないから渡らないで!やめなさい!」と注意される人の姿もあった。
ついに動き出す高架化
川崎市が進めるのは、同駅を含む武蔵小杉―矢向間約4.5kmの連続立体交差化だ。完成すると、向河原、平間、鹿島田の3駅が高架駅となり、計9カ所の踏切がなくなる。
立体交差化に向けた動きは10年以上前にさかのぼる。2007年、川崎市議会は沿線住民約5万5000人による「JR南武線未高架地域の連続立体交差化に関する請願」を全会一致で採択。2014年には市が事業化に向けた調査を開始し、2015年度に策定した「川崎市総合計画」では2018年の都市計画決定を目標として示した。その後、2018年の「総合実施計画第2期実施計画」では、2020年度の都市計画決定を目指すとした。
だが、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症流行により状況が変化。市は2021年1月、「今後の社会経済動向を踏まえた慎重な検討を行う時間を確保するため」として、2020年度の都市計画決定見送りを決めた。
総事業費は、2015年度の計画では約1479億円と試算されたが、さらに精査した2020年度の検討結果では約1601億円にふくらんだ。物価や労務費の高騰などが主な要因だ。そこで市は費用の削減策を検討。現在示している額は約1387億円で、約214億円圧縮した。
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