超高齢化社会への貢献、日本から発信したい 川上潤・GEヘルスケア・ジャパン社長に聞く

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ただし、今後はそれだけではなく「高齢化社会に必要な医療とは何か」という発想で製品を作らなければならない。たとえば、CTやMRIで検査をする患者さんの多くは高齢者です。高齢者はテーブルの上に乗るのも負担だし、動きを止めるにもひと苦労。検査時の不安も大きい。こうしたニーズを製品に反映することが一層重要になってきます。

――高齢者の多くは慢性疾患を抱えています。こうしたニーズも取り込むことができるでしょうか。

先に申し上げたのが「製品軸」での戦略とすると、「疾病軸」の戦略も考えています。今までは「CTです」「MRIです」というように、製品を売っていた。これからは各「ケアエリア=疾病領域」で必要とされる技術をパッケージで提案することが求められるでしょう。特に、高齢者に多いアルツハイマー、肝がん、整形分野に注力します。

アルツハイマーは、発症するまでにすでに病気が進んでいるとされています。早期発見、早期治療によって、患者さんのQOL(生活の質)は大きく向上します。リスクの高い人をいかに早く見つけるか。ここで私たちの画像診断機器、造影剤が役に立つのです。脳内に蓄積するβアミロイドというタンパク質を映し出すアミロイドイメージングもその1つです。

肝がんも同様に早期発見は重要です。肝炎から肝がんへの移行を、私たちの画像診断装置によってできるだけ早く見つける。そして、治療する。この一連のフローの中で、がん診断時の画像と、RFA(ラジオ波焼灼熱法、肝がんの治療法の一つ)で用いる超音波画像を合わせることができれば、より治療効果を高めることができるでしょう。ここにも私たちの技術を提供できます。

 高齢者が寝たきりになる多くの原因は転倒、骨折ですが、整形外科というのは、これまであまり超音波診断が使われていなかった領域です。腰椎骨折も寝て治す時代は終わりました。超音波画像を見ながらセメントを注入して、早く動けるようにしてあげることが求められています。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事