天斉鋰業の立場では、SQMの実質国有化はとても無条件では受け入れられない。同社は2018年12月、40億6600万ドル(約6395億円)もの巨費を投じてSQMの発行済み株式の23.77%を買収し、現在も同22.16%を保有している。
ただし、株式取得時に結んだ契約の縛りにより、天斉鋰業は純粋な投資家としてSQMから配当金を受け取るのみで、経営上の意思決定に直接関与することはできない。
SQMとコデルコの合弁交渉はそんな中で進められた。コデルコが支配株主になる合弁会社がSQMのリチウム権益を取得し、その業績がコデルコの連結対象になれば、天斉鋰業のSQMに対する権益が毀損する恐れがある。
減損処理を迫られるリスクも
天斉鋰業の6月3日付の声明によれば、同社はチリの3人の法律専門家に依頼し、SQMとコデルコの合弁契約のプロセスが法規に則っているかどうかを検証した。その結果、SQMは特別株主総会を招集して株主の承認を得る必要があると、3人全員の見解が一致したという。
仮にSQMが天斉鋰業の要求に応じず、合弁会社が計画通りに発足した場合、SQMは(チリ政府の認可が切れる)2031年にはリチウム事業の支配権を失う。このことは、合弁会社の業績がSQMの連結決算に(持ち分法に基づいて)部分的にしか組み入れられなくなることを意味する。
「SQMの(連結決算上の)収益力が低下し、企業評価額や配当金に(マイナスの)影響が及ぶことになれば、わが社は投資の減損損失の計上を迫られる可能性がある」。天斉鋰業は声明の中でそう懸念を示した。
(財新記者:蘆羽桐)
※原文の配信は6月3日
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