チリのリチウム資源「国有化」に中国大手が待った 天斉鋰業、出資先のSQMに特別株主総会を要求

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チリ政府は2023年、同国が世界最大の埋蔵量を持つリチウム資源の国有化を宣言した(写真はSQMのウェブサイトより)

世界第2位のリチウム生産企業であるチリのSQM(ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ)。同社の実質国有化を進めるチリ政府に対し、SQMの第2位株主である中国のリチウム大手の天斉鋰業(ティエンチー・リチウム)が待ったをかけようとしている。

天斉鋰業は6月3日、SQMが銅生産で世界最大手のチリ銅公団(コデルコ)と合弁会社を設立する計画に関して、チリ金融市場委員会(CMF)に申請書を提出したと発表。その中で、SQMに対して合弁会社の設立前に特別株主総会を招集し、株主の3分の2以上の同意を得るよう要求したことを明らかにした。

チリ国営企業が支配株主に

その3日前の5月31日、SQMとコデルコは約1年間にわたった交渉を経て合弁契約に署名した。両社の合弁会社が発足すれば、チリのガブリエル・ボリッチ大統領が2023年4月に宣言したリチウム産業の国有化が、初めて具体化することになる。

SQMとコデルコの合弁契約は2025年初めに発効し、合弁会社の出資比率は(国営企業の)コデルコが51%、SQMが49%となる。また、合弁会社の営業利益の70%はチリ政府に帰属し、2030年からはこの比率が85%に引き上げられるとともに、合弁会社の業績がコデルコの連結決算に組み入れられることになっている。

(訳注:SQMはチリ政府との過去の合意に基づき、リチウム資源の採掘権益を2030年まで認められている。同社はその延長と引き換えに、新設する合弁会社への権益譲渡を受け入れた)

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