エーザイ、「37年目トップ」に迫る2つの"後継問題" 認知症薬の成長急ぐ中で発表された注目人事
ただ、競合は手強い。世界的な医薬品企業であるリリーの2023年度売上高は341億ドル(約5兆3440億円)と、エーザイの7倍超に上る。その分、販売網の構築や営業活動にかけられる費用も大きく、エーザイが先行者利益を享受できる時間はそこまで長くないだろう。
エーザイが直面している「後継ぎ候補」の育成問題は、もう1つある。トップ就任37年目に突入した内藤CEOの後継者選びである。
エーザイは5月15日、常務執行役でアルツハイマー病部門のグローバルオフィサーを務める内藤景介氏(35)が、6月14日付で代表執行役専務に昇格すると発表した。
景介氏は、晴夫氏の子息だ。この人事について、内藤CEOは次のように説明している。
「従来当社では、CEOの交代はジェネレーションの交代ということで、数十歳若返らせることが行われてきた。そのやり方に沿ったサクセッションプラン(後継者育成計画)を取締役会と協議し準備してきたが、その一環が今回の代表取締役の選任だ」
CEO交代のタイミングは?
創業者の孫に当たる内藤CEOが3代目社長となったのは1988年、40歳のときだった(2014年から取締役兼代表執行役CEO)。当時、売上高2000億円に満たなかったエーザイを、認知症とがん領域に絞ることで成長させ、現在の規模にまで育て上げた。
内藤CEOは2016年に、2025年度までの10カ年の中期経営計画を公表している。その際には自らのCEOの任期について、「いつまで……とは全然考えていないが、10年いたら、それは大変なことになる」と発言していた。
次のステージに突入する2026年度は、レンビマの物質特許が切れる一方、レケンビの成長によって全社売上高1兆円達成を目指す節目の年だ。このタイミングを意識して、内藤CEOが後継者育成を進めている可能性もある。
レケンビの販売を軌道に乗せ、次の世代に経営をバトンタッチできるのか。エーザイにとってこの1~2年が、重要な局面となる。
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