エーザイ、「37年目トップ」に迫る2つの"後継問題" 認知症薬の成長急ぐ中で発表された注目人事
エーザイにとってレケンビは、会社の次の成長を占う重要な存在だ。
エーザイで現在もっとも稼いでいる薬は、抗がん剤の「レンビマ」だ。2023年度のエーザイの売上高7418億円のうち、およそ4割がレンビマによるものだった。
このレンビマは、2026年度に物質特許が満了を迎える。物質特許は医薬品の特許の中でももっとも効力が高く、その後は後発薬が参入してくる可能性がある。認知症薬のレケンビは、大黒柱であるレンビマの特許切れ後を支える“後継薬”として期待されているのだ。
エーザイは今年3月に、レケンビの売り上げを2026年度に約3000億円、2029年度に約1兆円、2032年度には1.6兆円にまで伸ばす計画を打ち出した。屋台骨をレンビマからレケンビにシフトさせながら、会社全体の売上高を2026年度に1兆円、2032年度には2兆円に拡大させるビジョンを描く。
売り上げの初速は想定を下回る
エーザイがレケンビの研究開発に注いできた時間や費用は膨大だ。発売初年度となる2023年度には、全社の研究開発費と販売管理費の2割に相当する約1100億円をレケンビに投じ、主戦場となるアメリカでの処方体制構築などを進めてきた。
もっとも、立ち上がりは会社の想定に反して緩やかだった。エーザイは2023年度にレケンビだけで100億円規模の売り上げを目指したが、結果は42.6億円にとどまった。営業体制の構築や、病院での薬の採用に時間がかかったためだ。「症状の進行を抑える」という薬の特性上、医師や患者家族から効果が見えにくいこともあり、浸透に時間を要しているとの見方もある。
同社の内藤晴夫・代表執行役CEO(76)は5月の決算説明会で、2023年度の第4四半期の売り上げが第3四半期と比べて2.7倍に拡大した点に触れ、「この傾向は今期(2024年度)にいたって(続いており)、ますます急角度でセールスはアップしている」と強調した。
2024年度の売り上げは、一気に565億円にまで伸ばす計画を掲げる。エーザイによれば、前述の中長期を含めた売り上げ予測には、ドナネマブなど競合薬の影響も一定程度織り込んでいるという。
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