フランス「極右首相」は生まれるか、何が起きるか 危機感に賭けたマクロン大統領の勝算とリスク

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フランスでは国家元首である大統領が政治の中心で、大きな権限を持つが、大統領が主に外交と国防を、首相が閣僚とともに内政全般を担う。大統領は首相・閣僚の任命権や議会の解散権などを通じて、首相に圧力を掛けることができるが、議会が決めた法案の拒否権を持たない。

外交・国防分野は大統領が大きな権限を持つため、ウクライナ支援の見直しにつながる可能性は低いが、国民連合は、欧州人権条約に違反する形での移民規制の強化、EU予算へのフランスの拠出負担の軽減、フランスの事業者や農業従事者の優遇(フランス第一主義)、バラマキ的な財政運営などを主張している。

5月31日には大手格付け会社がフランスの国債格付けを「AA」から「AA-」に引き下げた。政局不安、EUとの関係悪化、財政再建が進まないとの懸念から、フランス国債に売り圧力が及んでいる。

欧州各国を席巻する極右

極右主導の連立発足で基本合意したオランダや、秋の総選挙で極右政党が第一党になる可能性が高いオーストリアに加えて、フランスでも極右主導の政権が誕生した場合、EUの屋台骨を揺るがしかねない。

フランスとEUの未来を左右する運命の総選挙まで残り1カ月弱、フランスの政局展開から目が離せない。

田中 理 第一生命経済研究所 首席エコノミスト

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たなか おさむ / Osamu Tanaka

慶応義塾大学卒。青山学院大学修士(経済学)、米バージニア大学修士(経済学・統計学)。日本総合研究所、日本経済研究センター、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター証券(現モルガン・スタンレーMUFG証券)にて日、米、欧の経済分析を担当。2009年11月から第一生命経済研究所にて主に欧州経済を担当。

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