池袋という街だから見つかる「銘柄発掘のヒント」 コロナ禍でも「成長業種」の兆しをいち早く発見

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2000年以降の3大ショック(ITバブル崩壊、リーマン・ショック、チャイナショック)はいずれも半年前後の時間をかけて30〜50%ほど下げていった。その半年の間にはいずれもリバウンド局面があり、逃げることができていたのだ。

ところが、コロナショックでは30%下落するのに要した時間はわずか25日しかない。しかもリバウンドらしいリバウンドもない直線的な下落だ。

逃げ場のないままに下げていったために起きた「龍安寺の惨劇」だった。

東京へ戻ると、非常事態宣言が発出された。それから3年間、街角ウォッチがいかに有効だったかを思い知らされることになる。

コロナ禍で消えてしまった「銘柄のヒント」

コロナ禍では池袋から人が消えた。街角ウォッチといっても人がいるのは「焼肉ライク」と「銀だこ」くらいのもの。「1人焼肉」と「テイクアウト」だ。それはそれでコロナ禍での街並みの変化を象徴しているとはいえるが、投資のヒントにはなりそうもない。新たな銘柄のヒントを与えてくれていた人波は街から消えてしまった。

経済は止まっても投資を止めるわけにはいかないのが専業投資家だ。

「あの会社のトラック、よく街で見かけるな」と着目したのが物流企業のSBSホールディングスだった。巣ごもり消費によりインターネット通販が活性化し、SBSホールディングスの倉庫などへの需要も高まるだろうと見込んでいた。

確かに業績は拡大し株価も上昇したのだが、ピーク付近で大きく買い増ししてしまい、成長の鈍化が明らかになった2022年8月に最後の1000株を処分した。収支トントンでの撤退だ。

同じようなことはサイバーエージェントでも起きた。メディア事業の「AbemaTV(現ABEMA)」は年200億円の赤字を出していたものの2年後には黒字化する勢いがあり、ネット広告事業の成長も期待できたため、ポートフォリオをサイバーエージェントに傾けていった。

モバイルゲーム『ウマ娘』の大ヒットもあり株価は上がってくれたのだが、その後は反落。欲張った結果、売りどきを逃したまま現在に至っている。

SBSホールディングスやサイバーエージェントなど「ポートフォリオは傾けてなんぼ」を実践しても、資金を集中的に投下した銘柄がうまくいかない状況が続いていた。街角ウォッチが実践できなくなり、ネットや四季報頼みになっていたことの影響がじわじわと私の資産を蝕んでいった。

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