厳しい現実に直面したえずみさんでしたが、このコンクール後の先生との話し合いで、さらに上の志望校を目指すことにします。
それが、全国から天才が集まる東京藝術大学の工芸科でした。
「(変更の理由は)『武蔵美や多摩美を目指すのであれば、勉強でもいい点を取らないといけないよ』と先生に教えてもらったのがきっかけです。
絵でいっぱいいっぱいなのに勉強もしなきゃいけないのは、ちょっと厳しいなと感じていました。
ただ、そのときに先生に『藝大の工芸科なら、勉強はほぼ見ない』と言われて、素直だった自分は『絵がうまくなりさえすればいいんだ!』と鵜呑みにしてしまい、藝大を目指す決意をしました。改めて、何も受験のことを知らなかったなと思います」
藝大の中でも、特に実技重視である工芸科を志望することに決めたえずみさん。しかし、この年は最後までなかなか絵が上達せずに、1次試験で落ちてしまったそうです。
藝大一本でいく決意は揺るがなかった
東京藝大の工芸科(2024年度)の入試は、以下の通りです。
2次試験:平面構成(テーマやモチーフを与えられ、色を使って紙に表現する)
立体構成(水粘土を用いて立体造形物を制作する)
学科(大学入学共通テスト):3教科 国語・外国語・選択科目(地理歴史・公民、理科、数学から1教科)。
現役では落ちてしまい、浪人を決断したえずみさん。その理由は、「藝大一本と決めていたから」でした。
「落ちてしまって行ける大学がないから、浪人するしかない、という感じでしたが、この決断自体にネガティブな感情は一切ありませんでした。自分の周囲も、藝大一本で受けている人が多かったので、浪人する人が結構いたことが、決断した理由としては大きいですね」
こうして、現役のときと同じく千葉美術予備校で1浪を決めたえずみさんは、「オールした日もある」ほど絵を描くことにのめり込んだそうです。
「予備校の先生と、24時間連絡が取れる環境というのがすごくありがたかったですね。夜中に絵を描いたら、写真を撮ってLINEで先生に送り、すぐに講評をいただけたのが、絵の上達につながりました」
1浪目の生活で、彼女は現役のときよりも格段に実力を上げたそうです。苦手だった1次試験のデッサンは「中」と「上」が半々で、2次試験の立体構成も半々。平面構成に至っては、ほぼ「上」評価だったそうです。
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