「すぐ疲れる」「だるい」と不調な人の意外な盲点 自分でもできる「慢性疲労」を解消する方法
迷走神経は副交感神経として呼吸、心拍、消化管運動などにかかわっているため、迷走神経が炎症を起こすと、呼吸困難、動悸、胃もたれ、下痢、便秘、腹痛などの症状が現れます。
また、延髄の孤束核(こそくかく)に向かう迷走神経(求心性迷走神経)が炎症を起こすと、延髄からさらに大脳の視床下部や大脳辺縁系にまで炎症が広がり(「脳の炎症」です)、その結果としてめまいなどの自律神経系の障害や頭痛、倦怠感、疲労感、集中力の低下、記憶力の低下などの身体症状を引き起こします。
「慢性疲労」のおおもとは?
では、迷走神経の炎症が始まる、つまり「火種」がつくられている体の場所はどこでしょうか?
①コロナ感染で炎症が生じる場所
②迷走神経が分布している場所
この2つを満たすことが条件です。そして、その場所こそが「上咽頭」です。鼻の奥で両側の鼻腔から入った空気が合流し、肺に向かって下方に方向を変える上咽頭は細い毛が生えた繊毛上皮で覆われており、ウイルス、細菌、粉塵などが付着しやすい場所です。
上咽頭で生じた火種が迷走神経という導火線を伝わり、延髄や大脳に到達して「脳の炎症」を引き起こしてしまうわけです。
迷走神経の炎症を治すといっても、神経の炎症であるため一般的な抗炎症薬が効くわけではありません。迷走神経の炎症を抑える方法として海外で注目を浴びているものにVNS(Vagus Nerve Stimulation)と呼ばれる「迷走神経刺激療法」があります。