「すぐ疲れる」「だるい」と不調な人の意外な盲点 自分でもできる「慢性疲労」を解消する方法

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慢性疲労を治す本: いつまでも消えないつらい疲れ・だるさの正体
『慢性疲労を治す本: いつまでも消えないつらい疲れ・だるさの正体』(あさ出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

慢性疲労を訴える患者さんの自律神経の状態は、単に交感神経と副交感神経のバランスが崩れているだけでなく、交感神経レベルと副交感神経レベルがともに低下した状態と言えます。自律神経システムが健康な状態とは、交感神経と副交感神経(約80%が迷走神経)の両方が適度に緊張しており、ゆったりとしているけれども適度な緊張感と集中力があります。

交感神経レベルが高くて副交感神経レベルが低い状態の典型が「闘争」と「逃走」です。喧嘩しているとき、火事や突然の自然災害などで急いで危険な状態から逃げ出しているときなど、瞬発力と集中力が高まった状態ですが、同時にストレスが大きい状態です。交感神経レベルが低くて副交感神経レベルが高い状態は、まったりとリラックスした状態ですが、意欲や活力は乏しい状態です。

「慢性疲労」は交感神経レベルも、副交感神経レベルも低下した不安定な状態です。動悸、イライラ感、不眠、不安などの症状は副交感神経レベルが極度に低下しているために交感神経系が相対的に優位になることで生じます。

「慢性疲労」から解放されるセルフケア

この状態では副交感神経レベル、あるいは副交感神経レベルと交感神経レベルをともに高めることが必要な治療となります。EAT、頭部の治療ポイントを中心とした「鍼治療」(YNSA)、皮膚に刺したときに出血しない程度に尖った金属棒で治療ポイントを突っつく「チクチク療法」(無血刺絡療法)には直接迷走神経を刺激して副交感神経レベルを高める作用があります。自然塩を溶かした塩水を飲む「塩水療法」にもこの作用がある程度期待できます。

低温サウナを利用して体を温める「和温療法」は副交感神経レベルのみを高める治療法で、副交感神経レベルが特に低くて交感神経優位の状態の患者さんにおすすめです。

(出所)『慢性疲労を治す本: いつまでも消えないつらい疲れ・だるさの正体』
(出所)『慢性疲労を治す本: いつまでも消えないつらい疲れ・だるさの正体』

こうしたさまざまな治療法、セルフケアを組み合わせることで、1人でも多くの方が「慢性疲労」から解放されることを祈念しています。

参考文献
1. Davis HE, et al. Nat Rev Microbiol (2023). https://doi.org/10.1038/s41579-022-00846-2
2. Lladós G et al. Clin Microbiol Infect (2023). https://doi.org/10.1016/j.cmi.2023.11.007
堀田 修 医師・医学博士
ほった おさむ / Osamu Hotta

1957年、愛知県生まれ。防衛医科大学校卒業、医学博士。「木を見て森も見る医療の実践」を理念に掲げ、2011年に仙台市で医療法人モクシン堀田 修クリニックを開業。特定非営利活動法人日本病巣疾患研究会理事長、IgA腎症・根治治療ネットワーク代表、日本腎臓学会功労会員。2001年、IgA腎症に対し早期の段階で「扁摘パルス」を行えば、根治治療が見込めることを米国医学雑誌に報告。現在は、同治療の普及活動と臨床データの集積を続けるほか、扁桃、上咽頭、歯などの病巣炎症が引き起こすさまざまな疾患の臨床と研究を行う。近年はEAT(上咽頭擦過療法)を使った「新型コロナ後遺症」への取り組みも注目を集めている。

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