元気な欧州のベンチャー企業たち、次々と米国市場に挑戦
欧州発のITベンチャー企業といえば、スウェーデンで設立されたスカイプ、MySQL、大ヒットしたモバイルゲーム「アングリーバード」を開発したフィンランドのロビオ・モバイルなどがよく知られている。
欧州で設立されたITベンチャーで、米国に進出する企業が増加中だ。本社がロンドンで、1000万人以上のユーザーを集めているネット音楽配信会社、スポティファイもその1社。ソニー・ミュージックエンタテインメント、ワーナー・ミュージック、ユニバーサル、EMIと契約を結び、合法的な音楽ストリーミングサービスを手掛ける。
音楽をiTuneから購入するアップルと違い、ユーザーはネットから、自分のパソコンやスマートフォンにダウンロードし、音楽を聞く。データはパソコンなどの端末側に保存せず、スポティファイのサーバーから聞くので、ハードディスクなどの保存容量は問題にならない。
スポティファイは2008年10月、スウェーデンでサービスを開始した。無料のサービスだと、数曲聴くと広告が入り、音質も有料のサービスと比べると落ちる。米カリフォルニア州のベンチャー企業で、株式公開した米ネットラジオ局のパンドラのビジネスモデルと似ていなくもない。
スポティファイのCEOダニエル・エックは、かねてから「米国に進出したい」との意思を公に表明していた。そして今年7月14日、ついに米国市場でのサービスを果たした。
欧州では、スポティファイのユーザーの大部分が無料ユーザーだ。1000万人のうち160万人ほどが月額1000円前後の使用料を支払い、有料サービスを受けている(契約内容によって、アイフォーンやアンドロイドのスマートフォンからの利用が可能だ)。
有料ユーザーの数を増やすため、米国市場では無料のサービスを受けられるのは招待客だけとなっている。約1500万もの曲にアクセスできるというのが強み。現在世界でスポティファイが聞けるのは、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、フランス、オランダ、スペイン、英国、米国などだ。