JR西日本、突然「Tシャツ勤務」OKにした深い理由 JR東海は新幹線通勤時間を勤務としてカウント

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ここで出されたアイデアが実際のレイアウトに反映された。たとえば、一般的な本社ビルは、3階は○○部、4階は△△部といった具合にフロアごとに異なる部署が入居しているが、新大阪の鉄道本部はフロアを部署ではなく、機能で分けるという。

出社した社員は全員が個人用ロッカーのある「エントリーフロア」という階に顔を出す。その狙いは異なる部署の社員同士の会話を促すことだ。ほかにもフリーアドレスのデスクが並ぶフロア、集中して仕事をしたい人のためのフロア、上司が1カ所に集まって仕事をするフロア、グループで仕事をするフロアなどがある。どの社員がどのフロアで仕事をしているかは、ビーコンで把握できる仕組みになっている。

フロアのレイアウトについては、文具・オフィス家具メーカーのコクヨに助言を仰いだ。同社の担当者はデザインを行うにあたってJR西日本の会議にも何度も同席した。若手社員がどんどん意見を出す姿に、「JR西日本の若手社員は変化を求めている」と感じたという。

【2024年6月5日11時20分 追記】記事初出時、社名に誤りがありましたので上記を修正しました。

また、会議中に倉坂副社長が予告なしにふらりと顔を出したこともあり、「フラットだなあ」と感じたとも。こうしたやりとりを踏まえて、JR西日本に対する提案を作り上げた。JR西日本からもエントリーフロアの設置などのアイデアが出たという。

今年4月時点で想定されている鉄道本部の新しいオフィスのイメージ(画像:JR西日本)
今年4月時点で想定されている鉄道本部の新しいオフィスのイメージ(画像:JR西日本)

休憩室にテントも

ようやく全体の計画が決まったが、斎藤さんと塩見さんは「まだハードが決まっただけ」と気を抜く様子はない。「オフィスが変わっても社員のマインドが変わらないと意味がない」。

もっとも、その兆しはすでに鉄道本部以外でも芽吹いている。長谷川社長は「鉄道の現場でも意識が変わりつつある」と話す。その一例として、「先日、新幹線の清掃をするグループ会社の詰所を訪れたら、休憩室がサロンのようになっており、社員同士がコミュニケーションしやすくなっていた」と話す。さらに「休憩室の一角にテントが張ってあった」。確かに、明るい休憩室よりもテントの中で休憩するほうがよりリラックスできる。これらは社員たちが自ら考えたアイデアだという。

【2024年6月3日8時30分 追記】記事初出時、長谷川社長の発言に関する記述に誤りがありましたので、上記を修正しました。

大事故につながりかねない「リスクの芽」は至るところに潜んでいる。「ルールには記載がないが、こんなときどうする?」。慣習や先入観にとらわれず、自分の頭で考えて最善の行動を取ることは、鉄道運行にも当てはまる。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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