誹謗中傷受け僧侶に「元女性アナ」が見た社会の闇 「私はネットでの誹謗中傷に人生を破壊された」

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アナウンサー時代の高橋さん。古舘伊知郎さんにも認められ、競輪番組で司会者として活躍(写真:週刊女性PRIME編集部)

危険を感じて警察に被害を相談すると、男性はストーカー規制法違反で逮捕された。

2017年に修行のため断髪をする前の高橋さん(写真:週刊女性PRIME編集部)

加害者の逮捕が報道されると、「被害者は群馬県在住で50代のフリーアナウンサー」と報じられ、高橋さんだと特定されてしまう。

逮捕前に男性が自身のブログで、私と婚約していた、騙されて金を取られたなど嘘を書き連ねていたので、悪者は私という話が匿名掲示板などで拡散されていきました

ネットで「男を騙して金を取ったクソババア」などと叩かれ、さらに番組で共演していた仕事関係者のSNSでも、高橋さんを加害者と決めつけて批判する投稿が繰り返された。

加害者の急死で仕事をすべて失った

逮捕から1か月後に加害者が事故で急死し、事態は悪化。「逮捕を苦にしての自殺か」と報じられ、死に追い込んだのは高橋さんのせいだとネットは大炎上。高橋さんは競輪番組を降板させられ、仕事をすべて失った。

「人間関係もほとんど切られ、加害男性の言葉どおり、社会的に抹殺されました」

スマホには複数の匿名アカウントから「人殺し」「今日は何時に首吊るんですか」と毎日メッセージが届くように。地元にも噂が広まり、人が怖くなって家から出られなくなった。

「匿名での誹謗中傷は、暗闇の中、槍で身体を刺されるような痛みと恐怖でした。家には頼んでいない荷物が届き、いたずら電話も鳴りやまない。庭に首を切られた猫の死骸が置かれていたことも。私は誰かに殺されてしまうんだと思いました」

地獄の毎日から逃れたいと何度も自殺未遂をしたが、事件の直前に母親を亡くし、残された父親と愛犬を残しては死んでも死にきれなかったという。

1年以上たっても中傷はやまなかったが、あるニュースが高橋さんの転機になった。

「小学生がいじめと中傷を苦に自殺したという報道を見て、涙があふれました。誹謗中傷から子どもを守らなければと」

事件以降は放心状態が続いて感情を失っていたが、久しぶりに悲しみに襲われたという。そして、以前から心にあった僧侶への道を考える。

「実は私の母方の祖父が天台宗の僧侶で、幼少時からあこがれがありました。アナウンサーだった46歳の時に仏門に入る儀式である『得度』は済ませていたのですが、その後に行う僧侶になるための修行は、仕事が忙しく、できずにいました」

何もかも失った今こそ僧侶になる時だと奮起した高橋さんは、2017年に腰まであった髪を剃り上げ、比叡山延暦寺で60日間の修行に入った。14キロ減量するほど過酷な修行を終えると、地獄を抜けて生まれ変わった気がしたという。

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