「日本舞台の人気ゲーム」新作が海外で炎上のなぜ 考えなしに多様性に「屈する」ことのリスク
この種の戦術が採用されたのは今回が初めてではない。
最近では、ディズニーが実写版『リトル・マーメイド』のアリエルを白人女性ではなく黒人女性が演じると発表し、同様の批判を受けた。ディズニーは、この選択が騒動を引き起こし、より多くの注目を集めることを予期していたのだろうか――おそらくそうだろう。
多くの反発はあったが、この映画の興行収入は全世界で5億7000万ドルと、ディズニーにおける実写版としては過去最高を記録した。スターの民族性をめぐる "スキャンダル"が、この数字に貢献したのか、それともマイナスに働いたのか、定かではないが、悪い数字ではないだろう。
アジア人役に白人を採用してコケた
映画版『ゴースト・イン・ザ・シェル』は、アジア人キャラクター役に白人女性のスカーレット・ヨハンソンを選んだ。映画製作者たちは、ハリウッドにおける「ホワイトウォッシング(白人以外の役柄に白人を配役すること)について疑問の声が上がったり、SNSで炎上する可能性を考慮しなかったのだろうか。
スタジオが雇った広報会社が間抜けでなければそうした反応は容易に想像できただろう。実際、『ゴースト・イン・ザ・シェル』の興行収入は製作費をわずかに上回る程度で、大失敗に終わった。パラマウントの国内配給責任者であるカイル・デイヴィスは、『ゴースト・イン・ザ・シェル』の興行成績不振の理由はホワイトウォッシング論争にあったと告白している。
「アメリカ国内ではもっといい結果を期待していた。キャスティングに関する会話がレビューに影響したと思う」とデイヴィスは述べている。「日本のアニメ映画が原作なので、ファンにとっては非常に重要な映画だ。だから、原作を尊重することと、大衆向けの映画を作ることの間でつねにその針に糸を通そうとしている」。
SNS上では、Ubisoftが今回、黒人の主人公を選んだのはDEIの力によるものだと考える人もいるようで、これは同社が「チェックマーク式多様性」に屈したことを示している。
つまり、組織のリーダーが根本的な文化的変革の必要性を認識することなく、例えば「マイノリティ✔︎」「女性✔︎」といった要領でチェックマークをするように多様性が扱われると、体系的な問題を熟慮することなく、表面的な問題に対処するだけになってしまうということだ。今回の判断がDEIの圧によるものであれば、「多様性疲れ」しているネット民の批判の的になってしまうリスクはあったのである。
「悪い宣伝」ははたしてUbisoftにとってどう転ぶだろうか。
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