日経平均をめぐる「2つの激しい攻防戦」とは何か 「弱気派」と「強気派」、正しいのはどちらなのか

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このときの上昇幅は1万0362円という短期急騰相場だったが、その後は4月19日の1011円安の3万7068円で押し目を確認したあと、4月24日の3万8460円、5月7日の3万8835円、5月20日の3万9069円、5月23日の3万9103円と、激しく上げ下げを繰り返しながらも、じりじりと上値を取っている。

しかし、やはり4万0888円を抜けて新しい上昇波動が確認されるまでは安心はできない。目先の攻防戦の上値は5月23日の3万9103円、下値はその前日の3万8517円となるが、下値は5月9日の3万8073円までがセーフティーゾーンと考える。これが2つの攻防戦の詳細だ。

「弱気派」と「強気派」の見る景色がまったく違っている

このような激しい攻防戦が展開されるのは、弱気派と強気派の見る景色がまったく違うからだ。

内閣府が5月16日に発表した2024年1〜3月期のGDP速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.5%減、年率換算で2.0%減だった。2四半期ぶりのマイナス成長となり、日本経済の停滞を印象付けただけでなく、民間予測の中心値の年率1.5%減を大きく下回っていた。

当然、これは株式市場にとって大きなマイナス材料だが、当日の日経平均は534円高となって、25・75日移動平均を一気に抜いた。なぜだろうか。株式市場は「名目値」を評価するからだ。メディアでは「GDP年率2.0%減」がタイトルだが、名目値で言うと「前期比年率換算+0.4%、前年同期比+3.4%でGDPは599兆円」となり、景色がまったく違う。

不人気政権がデフレ脱却宣言を出すかもと言われる「GDP600兆円」がはっきり見えたとしたら、534円高も当然と言える。企業業績は名目値で記載され、当然税金は名目利益にかかる。国家(経済)は名目値で運営されているのだ。

また、企業業績も見方によっては景色が違う。3月本決算企業による今期予想の発表が終わったが、東証プライム銘柄における、前2024年3月期決算の純利益は前々期比18%増と、予想以上の結果だった。

今2025年3月期の純利益予想は現在のところ前期比約4%の減益になっている。この景色では当然買えない。

だが、今期の減益予想の主な原因は、各企業が為替レートを読めないことで極端に慎重な予想を出したことによる。

思い出してほしい。4月初めに出た日銀短観での企業の予想為替レートは1ドル=141円だった。そこから決算発表までさらに円安が進んだが、例えばホンダが1ドル=140円、トヨタ自動車は1ドル=145円で、為替予想は4月時とほぼ変わらない。

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