近鉄の橿原神宮前、ほかの駅にはない「レア風景」 標準軌の橿原線、狭軌の南大阪・吉野線の合流点

拡大
縮小

その連絡通路に面して中央改札口がある。大きな屋根が特徴のメインの駅舎は1940年、紀元2600年を記念して建築家・村野藤吾(1891~1984年)の設計により建てられた。橿原線ホーム南端の構内踏切を渡った先に東改札口。反対側の南大阪線・吉野線をくぐった地下に西改札口がある。

橿原神宮前駅 駅舎
中央改札口がある駅舎は1940年に建てられた(記者撮影)

標準軌と狭軌の両方の路線が乗り入れる駅ならではのレアな施設もある。狭軌の南大阪線・吉野線の車両は大がかりな検査の際に五位堂検修車庫まで運ばれる。五位堂までの大阪線は標準軌のため、駅東側の「台車振替場」で台車を履き替えて車両を移動させる。

橿原神宮前駅 標準軌・狭軌の台車振替場
画面奥が台車振替場。レールは標準軌と狭軌2つの幅がある(記者撮影)

複数の顔を持つ橿原神宮前駅

周辺には日本初の都城である藤原京、江戸時代の町並みが今なお残る今井町といった歴史好きに人気の観光スポットも多い。飛鳥大仏や岡寺、石舞台などを巡るのに便利な「明日香周遊バス(かめバス)」は、橿原神宮前駅東口から出ている。

橿原神宮前駅 東改札駅舎
東改札口にはコンパクトな駅舎(記者撮影)

同駅は、橿原神宮参拝の玄関口であるだけでなく、橿原線と南大阪線・吉野線の乗換駅、歴史あるエリアの観光拠点と複数の役割を担っている。地元では「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の世界遺産登録を目指す動きがある。実現すれば、駅の重要度もこれまで以上に増すことになりそうだ。

この記事の画像を見る(60枚)
「鉄道最前線」の記事はツイッターでも配信中!最新情報から最近の話題に関連した記事まで紹介します。フォローはこちらから
橋村 季真 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT