「所得代替率」とは、公的年金を受給し始める65歳時点のモデル年金額が、その時点の男性現役世代の平均手取り収入(賞与込)と比較して、どの位の割合かを示すものだ。財政検証で公表している。2019年の財政検証では、所得代替率は61.7%だった。
政府は、所得代替率が50%を下回らないこととしている。退職後の年齢になれば、子育ては終わっており、子供の教育費等を負担する必要はないから、働いていたときのほぼ半分の収入で生活が成り立つというのは、納得できる考えだ。
なお、年金以外にも収入はある。いま考えている区分の場合、世帯主の勤労所得はゼロだが、配偶者やその他の世帯員の収入が、2023年で月8万 3000円ある。その他にも収入項目があり、これらを合計したものを「実収入」と呼んでいる。2023年では月額25万5973円だ。
年金生活者の支出はどれくらいか
支出は、「実質支出」という概念で示されている。月額28万6176円だ。
支出の内容を見ると、最大のものが食料で、月額7万6062円。次が交通・通信費で、3万1439円だ。
以下、次のようになっている。住居:1万6304円(うち設備修繕・維持1万3455円)、光熱・水道:2万3809円、家具・家事用品:1万0864円、被服及び履物:5346円、保健医療:1万6210円、教養娯楽:2万3861円、その他の消費支出:4万8681円、直接税:1万3367円、社会保険料:1万9864円。
決して豪勢な生活というわけではないが、まともな生活だと考えてよいだろう。
黒字(実収入ー実支出)はマイナス3万0203円。これは、預貯金引き出しや保険金などで補填している。
金融資産の保有状況に関する統計は、所得支出編とは別系統の統計である「貯蓄・負債編」にまとめられている。
2人以上の世帯のうち世帯主が65歳以上の世帯(2人以上の世帯に占める割合42.6%)について2022年を見ると、貯蓄額の平均が2414万円だ。この数字を見ると、多くの人が、「自分の金融資産保有額はかなり少ない」と感じるだろう。これは金融資産の分布の特性による。より詳しくは、次のとおりだ。
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