しかし内閣府は「調査中」を理由に、経産省や環境省は「懸念の解消」と条件づけて、自然エネルギー財団や大林氏へのエネルギー問題に関するヒアリングを止めている。
また、騒動の勃発から現在まで、ネット上や一部のメディアでは根拠もなく大林氏の国籍や名前、プロフィールまで疑うような誹謗中傷が続いている。大林氏は語る。
「ネット上で、私の名前のミカがカタカナで怪しい、中国人だ、朝鮮人だ、中国のスパイだなどと根拠なく煽っている人たちがいます。もちろん法的措置は考えています。政府の方々がデマを鵜呑みにするとは思いませんが、念のため、私と、10年前に亡くなった父の原戸籍を内閣府にはお見せしました。私の出身地は大分県の中津です。一時、私を叩いたメディアの記者さんたちも、3月27日の記者会見の後に私のところに近づいてきて、いろいろ書いてすみませんでした、社の編集方針もありまして、などと声をかけてくれました。現場の人たちはわかってくれています」
では、大林氏への攻撃や、自然エネルギー財団を排除しようとする動きは、どのように始まったのか。
「地方公務員」を名乗ってデマ投稿
ロゴ混入の騒動は、3月22日の金曜日、第30回TFが開催された後、新電力(電力自由化によって新しく電気の小売事業を始めた企業)の関係者が翌23日10時に、資料に透かしが入っているのは何でしょうかとX(旧ツイッター)でつぶやいたあたりから始まった
その日の21時38分には「地方公務員」を自称する「Okubo@chishoin」なる人物が次のように投稿する。
「タスクフォースのメンバー4人を住基ネットで検索したことがあるんだけど、『大林ミカ』だけ該当しなかった」
この投稿をきっかけに、ネット上では「どういう人なん? 公共の仕事は出禁だろ!」「そういう人を一般的に『スパイ』と呼びますね」といった声が広がってゆく。
騒ぎが大きくなったからか、「Okubo@chishoin」はその後アカウントそのものを削除している。しかし、違法を承知で住基ネットを本当に閲覧したかのような投稿は、大林氏を中国のスパイだと信じ込みたい人たちを刺激した。デマからバッシングは盛り上がった。
過去に日本記者クラブの喫茶室で行われた共同通信のインタビューでは、偶然にも大林氏の背後に中国の朱鎔基元首相の写真が映り込んでいたことから、こちらもネット上で「大林の執務室に中国首相の写真がある」というウソが拡散した。
「実は、ロゴ問題がネット上で持ち上がったとき、私はドイツに出張中で、Xでの炎上も、ドイツ時間土曜朝に内閣府から連絡がきて知りました。土日をはさんで、25日月曜の21時ごろに帰国するまで国内では対応できませんでした。その間にデマや中傷がネット上で広がってしまったのです」と大林氏は言う。
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