風力発電の本格普及への高いハードル、補助金廃止で強まる“逆風”
導入が遅れている要因はいろいろあるが、国見山WFの例に見られるように、風車設置の障害となる多くの立地規制や建築規制、制度が存在することが大きい。
立地規制としては、国立公園や国定公園内への立地を制限する自然公園法をはじめ農地法、森林法などの規制がある。風力発電の適地は、風が強く民家から離れている場所が多い。そうした適地の多くは、立地規制の対象となるのだ。場所によっては、「日本野鳥の会」との調整が必要になるケースもある。また、「姉歯事件」を機に建築基準法が改正され、風車にも超高層ビルと同様の厳しい耐震基準が義務づけられた。
こうした規制の存在は、風力発電事業者にとって準備や建設に要する時間と経費の増加要因となり、コストアップにつながる。
今後は環境法制もこれまでより高いハードルになりそうだ。現在、風力発電所建設には法的な環境アセスメント(影響評価)の義務づけはなく、業界は自主的な事前評価などで対応している。ところが、近隣住民の健康に悪影響を及ぼす低周波音や、鳥が風車に衝突する「バード・ストライク」が近年、問題視されるようになり、環境省は近く、出力量1万キロワット以上の風力発電所を環境アセスメント法の対象とする意向だ。年内にも法令改正に着手する。この結果、事業者には1カ所当たり数百万円の追加コストが発生する。