裏金事件再発防止の法改正で「与党内対立」の混乱 自民独自案にも批判噴出、会期内成立に暗雲

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野党第1党として審議の主導権を握りたい立憲は、他野党とも連携して自民案より厳格な「連座制」の導入や、「政策活動費の禁止」などを掲げ、「与党は野党案を丸呑みすべきだ」と攻勢をかける構えだ。

これに対し、自民党は独自案を土台とした規正法改正案の月内衆院通過を狙い、公明も含めた各党との調整に全力を挙げる方針。自民党としては「野党の主張にも一定の配慮をしての軟着陸」(国対幹部)を目指すが、今後の与野党協議は難航必至で、首相が“公約”した当初会期末までの改正法成立は、「全く見通せない状況」(自民国対幹部)だ。

しかも、攻勢をかける野党側にも足並みに乱れが目立つことがさらに事態を複雑化させている。立憲は政治資金パーティーの全面禁止案を同党単独で20日に衆院に提出。日本維新の会は調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開について、独自に自民党と折衝して前向きに対応す
るよう要求している。一方、共産党はすでに「企業団体献金全面禁止案」を国会提出するなど、野党の対応にもばらつきが目立つ。

シナリオなき各党協議の行方は「予測不能」

こうした状況から、今後の特別委での審議と各党協議は「最近例のない、シナリオなきぶっつけ本番で、しかも各党入り乱れての駆け引きばかりが前面に出る異常事態」(閣僚経験者)となるため、「結末は予測不能の状態が続く」(自民長老)との見方が広がる。

週明けの20日午後に開かれた衆院予算委集中審議では、野党側が自民の独自案について「提出が遅いうえに中身が薄っぺら」「抜け穴だらけで絶望的にお粗末な案」などとそろって厳しく批判し、企業団体献金などについて、それぞれの立場から、岸田首相の踏み込んだ決断を求めた。

これに対し、岸田首相は「裏金事件の再発防止に向けて実効性のある案を作った」「企業団体献金と政党助成金の関係については、他の収入とのバランスを考慮してまず透明度を上げるのが重要」などと従来通りの建前論を繰り返すにとどめた。

さらに、裏金事件の中心人物とされる森喜朗元首相への再聴取についても、「推測の域を超えて具体的な関与は確認できていない」とこれまで通りの答弁をしたうえで、「再聴取は考えていない」と明言した。

ただ、自民が過半数割れしている参院での22日の予算委集中審議での野党側の追及は、さらに厳しくなるのは必至。このため、自民は公明とも連携しつつ水面下での対野党折衝に臨むことになるが、その過程で岸田首相が自民総裁として踏み込んだ決断をできるかどうかが当面、最大の焦点となりそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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