今回の規正法改正を巡る与党内調整では、大型連休明けから岸田首相が自ら陣頭指揮する形で、公明の説得工作に腐心した。しかし、山口那津男同党代表は最終調整の場となった5月13日の政府与党連絡会議で、「現状では与党案の法案化は困難」と宣言、野党との協議先行を求めた。
「同じ穴のムジナ」批判を恐れる公明
公明が自民との共同歩調を避けた背景には、「法改正で安易に自民と妥協すれば、同じ穴のムジナとみられる」(幹部)との強い危機感があったとされ、「与野党協議を優先した形で決着させないと、国民の批判をかわせない」(同)との思惑からの対応だったことは間違いない。
そうした状況を受けて自民がまとめた独自案は①パーティー券の公開基準額を現行の「20万円超」から「10万円超」に引き下げる②党から50万円超の政策活動費を受け取った議員は項目別の支出額を党の収支報告書に記載する――などが主な内容。注目された政治資金パーティーに関する「公開基準額」については、当初から「5万円超」を主張した公明に対し、自民側は「受け入れられない」として折り合わなかった結果だ。
一方、野党側はパーティーの全面禁止や企業・団体献金の禁止を掲げているが、自民はいずれも無視する形で独自案をまとめて国会提出。これを踏まえ、立憲民主は国民民主、衆院会派「有志の会」と連携して対案をまとめ、20日に共同で国会に提出した。
この対案は、国会議員の責任を厳格化する「連座制」導入や、政策活動費の禁止が主な内容。具体的には①議員に政治資金収支報告書の記載・提出義務を課す②不記載で有罪になれば公民権停止③政策活動費の根拠規定の削除――などとしており、3党派は自民案への対案として、成立を求める方針。
これに先立ち、与野党は国対レベルの協議で、まず週明けの20日と22日に衆参予算委員会での「政治と金」をテーマとする集中審議を設定、岸田首相に自民の規正法改正案についての見解をただすことを決めた。このため、特別委での同改正案を巡る審議は、22日の各提案者の趣旨説明とこれに対する質疑で本格化することになる。
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