金融大混乱でFRBがゼロ金利政策長期化、ゴールドマンは年後半のQE3を予想


金融市場の混乱で追加緩和に追い込まれたFRB

今回のFOMCの決定は、「欧米の財政問題や景気の先行きに対する懸念の高まりなどを背景とした金融市場の混乱を受け、FRBは様子見姿勢に転じた6月の前回会合から短期間で追加の金融緩和に追い込まれた」(桂畑誠治・第一生命経済研究所主任エコノミスト)ものと言える。
 
 7月の雇用統計の改善で追加緩和の先送り観測もあったが、スタンダード&プアーズ(S&P)の米国債格下げに端を発した投資家心理の急悪化による株安など、リスク資産価格の暴落を受け、FRBの時間的余裕は失われた。

時間軸政策については、これまでは「長期間にわたり(for an extended period)、異例の低金利を維持することが正当化される経済状況」という表現で、実質的には半年~1年程度という市場の受け止め方だったが、今回は「少なくとも2013年半ばまで……(以下同)」と期間が明示され、しかも今後2年間と大幅に長期化した。
 
 そのうえで、必要となれば景気回復を加速させるための追加の金融緩和政策を実施することも示している。「これ以上の株価下落、それによる景気後退を何としても回避するとの強い意志が示された」(桂畑氏)。

バーナンキFRB議長は7月13日の半期議会証言で、「最近の経済の弱さが予想よりも長引いてデフレのリスクが再浮上」した場合の追加緩和策の選択肢として、(1)FFレートとバランスシートが現行水準で維持される期間に関するより明白な指針の提供、(2)追加的な資産買い取りまたは保有証券の平均満期の長期化、(3)準備預金金利の引き下げ、の3点を指摘していた。今回はこのうちの(1)が選択された形だ。

もっとも、「少なくとも13年半ばまで」との判断は「現時点」のものであり、「必ず13年まで超低金利を維持するという約束ではない」(丸山義正・伊藤忠経済研究所主任研究員)。FRBの判断はあくまで今後の景気データに対する判断に依存しており、それいかんでゼロ金利解除が早まる可能性はある。

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