漁師めしで魅了、登録者80万人の異色YouTuber 17歳で飛び込んだ漁師の世界はしんどかった

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――漁師を目指す方へ何かアドバイスをお願いします。

漁師になりたくてもなれない環境が、現在の水産業にはある。自分の子どもしか組合員になれない漁業協同組合(漁協)もあり、私も漁師の息子でなかったら、なりたくてもなれていなかった。

一方で新規参入に前向きな組合もある。志望者を歓迎しているなど、受け入れ体制がしっかりしている組合にたどり着くことが、最短で最善のルートだ。あるいは、学校や塾を開くなど、志望者をサポートしている自治体を探すのも手だろう。

また、どうしても生活にお金はかかるので、ある程度収入が見込めるところも選ばないといけない。操業期間などの制約があり、収入が少ないとなると長続きしないので、下調べをしたり、頭を下げてでも教えを請うたりする姿勢が求められる。

ちなみにうちは兄も漁師で、私は13年前に漁協に入ってから、ずっと一番年下の若手だ。この仕事には定年がなく、いつまでも漁に出られるので、新陳代謝が起きにくいのかもしれない。

YouTuberはできる限り続けたい

――改めて、この仕事のやりがいとは。

私は魚が大好きで、あがってくるすべての魚がうまそうに見える。それらを持ち帰って調理して、お酒と一緒に食べることに幸せを覚えている。

また、単価の高い魚が獲れたときは宝くじに当たったときのような、トレジャーハンターのようなワクワク感もある。天然物相手だと収入は安定しない面もあるが、大儲けしている漁師もいるし、それはそれで素晴らしいと思っている。稼げる職業でないと、担い手は集まらない。

――最後に将来像を聞かせてください。

YouTuberをいつまでやるかわからないが、できる限りは続けたい。大きな目標を掲げるわけではなく、毎日のクオリティを高めていくことを心掛けている。

漁師に関しては天然物相手だけでは難しいと判断している。カキ養殖を始めたのはそういう理由もある。漁業歴13年、30歳の私がずっと若手ということは、このままだと水産業はなくなるということ。だから養殖などを通じて担い手を増やしたいと考えている。

新しい漁師が増えるようにサポートできる体制も必要だ。天然資源が減って、若者の魚離れで漁獲単価が下がると、漁協も破綻する。私の場合、漁業や養殖が生活の糧になっているが、さらに事業を拡大してこの仕事を将来につながる職業にしたい思いがある。

(はまゆう氏も応援する、漁師になりたい人のイベント「漁業就業支援フェア2024」~主催:全国漁業就業者確保育成センター~が7月6日に福岡、15日に東京・浜松町、27日に大阪で開催されます。漁業に関心ある方はぜひともご参加ください)

大正谷 成晴 編集者・ライター

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おしょうだに・しげはる

1973年生まれ。フリーランスの編集・ライター。ビジネス全般、株式投資、FX、投資信託、クレジットカード、介護など、幅広いジャンルで取材・執筆を行っている。著書に『1万円からはじめるFX超入門』。

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