グーグルは、テクノロジーで女性を支援する "産む性"は変わらないが働き方は変えられる

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先日、フレデリックさんの部署でも3人目の育休に突入した女性がいる。いよいよ明日から育休というその日、オフィスでは、メンバー全員でその女性を祝福するセレモニーが行われたという。

「上司である私は、『あなたは戻ってくる価値のある人材だ』と彼女に伝えました。育休や介護などで会社とのつながりが希薄になる期間があっても、ウェルカムな雰囲気の中、戻ってくることができる。『自分は歓待されているのだ』と感じられることは、モチベーションにもつながりますよね。こういう環境であれば、組織のためによい変化を起こそうという気持ちになりますし、そうすればアイデアだってたくさん出てくるものです」

大切なのは「子どものようになること」

フレデリック G. プフェールト●Google Innovation & Creativity Programs 統括部長。技術革新を推進する企業文化を構築し、10xthinking (10倍の思考) を促進するためのトレーニングを提供している。Googleの『Creative Skills for Innovation Lab』を運営しながら、スタンフォード大学デザイン研究センター(d.school)およびコロンビア大学のEdLabにて客員研究員を務めている。Learning Design:Labの創始者として、児童、教師から CEO にいたるまで教育を提供したことでさまざまなアワードを受賞。すでに技術革新の構築、リーダーシップ、ダイバーシティに関するグループワークは多くの組織に変革をもたらし、TIME, BBC など多くのメディアに取り上げられた

さらにフレデリックさんが常々口にしているのは、「イノベーションを起こすためには、子どものようになることが大切」ということだ。

「子どもは、あらゆることに『なぜ?』と疑問を持ちます。大人なら実現不可能と思えるようなことも平気で夢見ます。そして、失敗することを恐れません。そのような気持ちで物事を考えることで、今までにないアイデアが生まれるのです」

もちろん、新しいアイデアを生み出したり、未経験のことにトライするには、当然リスクが伴う。挑戦すること自体が尊重され、失敗してもそのミスから学ぶことが大切なのだという、安心・安全な雰囲気。それを醸成することが、今、フレデリックさんたちが特に心掛けていることのひとつなのだそう。

「仮に何かしらの制約を受けている環境でも、人間は本質的に『新しいことにチャレンジしたい』というモチベーションを持っているものだと私は考えています。Googler(グーグル社員)だから、イノベーションが起こせるのではありません。仮に、皆さんの働いている環境が弊社のような組織でないとしても、自分で自分にリスクを冒すことを許し、ミスしても大丈夫だと励ますことはできるはず。そう自分を奮い立たせることで、誰もがイノベーションを起こすことができるのではないでしょうか」

海外を飛び回る日々を送るフレデリックさんだが、「同じホテルを利用したことは一度もない」と話す。短い日本滞在の間にも、5軒のレストランを試し、毎日違うルートでランニングを楽しんだ。

「こうして、私も毎日自分自身に新たなチャレンジをさせています。知らない人に話し掛ける、いつもと違う道を通って出勤してみる。道に迷ったっていいじゃないですか。そのお陰で、いつも同じ通勤路だったら決して見つけることのできなかったレストランを発見できるかもしれないのですから」

組織から与えられる制度だけにとどまらず、メンバー一人ひとりのこうした小さな心掛けや習慣の集大成が、働きやすい環境を作り出す要素となるのだ。

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