大人の「勉強が続かない」やる気が原因じゃない訳 40〜50代が「脳の機能」を圧倒的に引き出すコツ

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どんなに運動能力が高い人でも、全く走ったことのないフルマラソンを一度も練習しないで走ろうとする人はいないでしょう。準備運動をして、基礎体力をしっかりつけた人だけが最後まで走り切る体力と気力を持っているはずです。脳も同じで、何かを始める前には、最初に脳科学的な準備運動が必要なのです。

何歳からでも思い描いた脳を自分自身で作っていける

脳の成長を私は「枝ぶり」(脳のMRI画像内の黒くなっている枝のような箇所を指します)と呼んでいます。

『一生頭がよくなり続ける もっとすごい脳の使い方』(サンマーク出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

脳画像を見ると、しっかり働いている箇所の枝ぶりはいいのに対し、基礎体力がない箇所は白い部分が目立って枝ぶりがはっきりしません。

私のクリニックでは、脳画像から診察して、基礎体力がない箇所のトレーニングを提案します。

具体的には、「利き手と反対の手で体を洗う」「頭が働かなくなったらひたすら歩く」「お腹のマッサージをする」「1日1回、人を笑わせる」「出かける前の10分間でカバンの整理をする」「頭皮マッサージをする」など、診断によって自分の生活に取り入れやすいものを実行してもらいます。

トレーニングをすることで、脳全体が活性化し、まんべんなく脳全体の枝ぶりがよくなっていきます。そうすることで記憶力・理解力・思考力・実行力・決断力・交渉力・コミュニケーション力・創造力、すべてが向上して、生活にも仕事にもいい影響を多数もたらすことでしょう。

誰でも、何歳からでも思い描いた脳を自分自身で作っていくことは可能です。脳の枝ぶりを成長させることができれば、脳番地の働きも活発になり、脳の処理スピードも速くなります。

番地内の連携も深まるため、仕事に、勉強に、プライベートに、人生すべてにおいて意欲的に励むことができるでしょう。

加藤 俊徳 医学博士/「脳の学校」代表

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かとう としのり / Toshinori Katou

脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。脳科学・MRI 脳画像診断の専門家。1991年に、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科で脳画像研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。加藤式MRI 脳画像診断法を用いて、小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。得意な脳番地・不得意な脳番地を診断し、脳の使い方の処方を行う。『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社)など著書多数。

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