スカイマーク社長が先制、羽田発着枠争奪で火花 ANAとAIRDOなどの「コードシェア」もやり玉に

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洞氏の指摘は、「ANAのコードシェアを事実上、制限するべき」と言っているに等しい。ただ、洞氏以上に踏み込んで意見したのは、JALの小山雄司執行役員だった。「羽田(発着)のコードシェアは廃止するべき」と訴えたのだ。

それらの声には花岡伸也委員(東京工業大学教授)が、「コードシェア廃止はドラスティックだが、スカイマークの提案は1つの考え方としてはありだと思う」と反応した。

対するANAの松下正上席執行役員は、「ANAと(コードシェアをしている各社の)顧客セグメントは異なる。利用客にとって利便性が高まるようにコードシェアを選択しており、提携先としても理にかなっている」と主張した。

またコードシェアをしている各社は、「コードシェアをすることで輸送人員が増えるため、有効活用の観点から矛盾をしていることはない」(AIRDO)、「当社は提携先(ANA)との運賃競争を繰り広げている。運賃が本当に上昇をしているかぜひ検証をしていただきたい」(ソラシドエア)と回答した。

洞氏が提起したほかの2つの主張とは異なり、コードシェアについては多くの委員が言及していた。今後も議論される可能性はある。ただ、ANAはスカイマークなど中堅航空会社と異なり、国内主要路線で大型機材を運航している。コードシェアを理由にANAの発着枠を他社に配分すれば、羽田の輸送力が下がる点は留意が必要だ。

成長戦略に影を落としかねない

洞氏が委員会という公の場で強く主張した背景には、スカイマークの掲げる成長戦略の存在がある。同社は2022年12月に再上場した際、2つの成長戦略を掲げた。新機材の導入と羽田空港を中心とした発着枠の拡大だ。

前回2019年の発着枠再配分時にANAやJALが枠を減らす中、スカイマークは1枠増と唯一の増枠を勝ち取った。企業の努力だけでは維持が困難な地方路線の充実のため、自治体と航空会社が協力する案に配分する「羽田発着枠政策コンテスト」でも枠を獲得。実質2枠増となっていた。

スカイマーク再上場
2015年の経営破綻を経てスカイマークは2022年に再上場を果たした。コロナ影響が本格化した2020年2月に社長となった洞氏(前列中央)にとって同社を成長軌道に乗せることは最重要課題なのかもしれない(撮影:尾形文繁)

今回の再配分も自信を持っていたことは間違いないだろう。しかしそれが延期になる可能性も出てきた。成長の源泉である羽田発着枠が増枠されなければ、経営戦略に影響を及ぼしかねない。洞社長の主張は危機感の裏返しともいえる。

ただ竹内委員長が述べたように、コロナ禍という未曾有の事態が襲った期間の動きをどう評価するかが難題であることは間違いない。議論の末に委員たちがどのような判断を下すのか、目が離せない。

星出 遼平 東洋経済 記者

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ほしで・りょうへい / Ryohei Hoshide

ホテル・航空・旅行代理店など観光業界の記者。日用品・化粧品・ドラッグストア・薬局の取材を経て、現担当に。最近の趣味はマラソンと都内ホテルのレストランを巡ること。

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