投資の視点で「良い会社」を判断するポイント 「売上」や「財務状況」だけでは実態はわからない
さて、以上から、「収益性」と「資本構成(財務レバレッジ)」が最も一般的なクオリティ投資の指標であると考えられるが、ここでは、「収益性」にフォーカスを当てることとする。
なぜならば、「収益性」はビジネスの本質に起因する要素が大きい一方、「資本構成(財務レバレッジ)」はマネジメントの意思決定に依存する要素が大きいためだ。
負債を嫌う企業は「良い会社」と言えるのか
たとえば、日本企業は負債を抱えるのを嫌い、現金を保有することを好む傾向にあると言われている。
その場合、負債のない日本企業は、負債を利用して急速に成長する欧米企業に比べて質の高い会社だ、ということになるが、当然、そのようなことはない。
ただたんにリスクをとることを恐れて現金を溜め込む場合、将来の成長のための投資を怠ることとなり、会社の存続に影響を及ぼすかもしれない。
「資本構成(財務レバレッジ)」は財務的な安定性を測る重要な特性であるものの、会社のマネジメントの意思決定によって左右されるため、「良い会社」か否かを判断するうえでは「収益性」のほうが本質的な特性であると考えられる。
したがって、ここではクオリティ投資の視点から考える「良い会社」とは、「収益性の高い会社」であり、より具体的に表すと「高いリターンを長期的に生み出すことができる会社」であると定義する。
先ほど説明したROEの概念を含めて言い換えるのであれば、「高いROEから得た利益を、同水準以上のROEを得られるビジネスに、継続的に投資できる会社」がクオリティ投資における投資対象だ。
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