投資の視点で「良い会社」を判断するポイント 「売上」や「財務状況」だけでは実態はわからない

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たとえば、英国のウォーレン・バフェットとも呼ばれる英ファンドFund Smithの創設者であるTerry Smithは、「良い会社を、そのクオリティに見合った金額内で買い、長期的に保有する」というシンプルな哲学に基づいて投資判断を行なう、代表的なクオリティ投資家の一人だ。

彼は、2010年のファンド創設から2022年にかけて478%の投資リターンを上げた。これは市場平均の256%を大きく上回る数字である。クオリティ投資が機能した一例といえよう。

「株式指数におけるクオリティ投資」(『三菱UFJ信託資産運用情報』2020年7月号)では、「クオリティ」について確固たる定義が存在しないことを前置きしたうえで、各指数会社(インデックスプロバイダー)が提供するクオリティ指数について、どのような特性指標が用いられているかを整理している。

なお、インデックスプロバイダーとは、同じような性質を有する株式をまとめ、1つの投資商品(インデックスと呼ぶ)のように投資パフォーマンス(指数)を測定し、その情報を投資家等に提供する業者を指す。

重視される5つの項目

代表的なインデックスプロバイダーであるMSCI、FTSE RUSSELL、S&Pダウジョーンズ、STOXXが、「クオリティ」投資といった場合にどのような項目を見ているかをまとめたのが次の表だ。

■各指数プロバイダーのクオリティ指数の採用指標

(出所:『米国の投資家が評価する「良い会社」の条件 クオリティ投資の思考法』より)

※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

同誌によると、各クオリティ指数に用いられている財務指標を列挙し共通の特性で整理したところ、①収益性、②資本構成、③利益の安定性、④成長性、⑤会計の質、の5つに分類することができたそうだ。それぞれの特性の内容は以下のとおりだ。

次ページ5つの項目の詳細は…
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