妻大ショック「夫の3回忌後」出てきた遺産の正体 本人以外は存在を知らない「デジタル遺産」の罠

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どうしたらよいのかわからず、Aさんは当時の相続の専門家に相談することにしました。「立派な財産ですし金額も大きいので、きちんと相続税の修正申告と追加納税をやりましょう」と、アドバイスを受け、修正申告をすることになったわけですが、ここでよからぬことを知ることになります。

相続発生時点の驚きの評価額

相続税の申告・納税にあたっては、相続発生時点の評価額に基づいて行います。預貯金であれば相続発生時点の残高、有価証券であれば原則相続発生時点の時価です。

よって、相続発生時点の評価額を確認して、申告・納税することになりますが、なんとこの2年あまりの間、投資していた有価証券が値下がりを続け、評価額がほぼ半減していたのです。相続発生時点では評価額2500万円だったのに、現在は1300万円に……。

相続税の修正申告にあたっては、相続発生時点の評価額2500万円で申告するため、その分、納める税額は大きくなるにも関わらず、実際に受け取るのは1300万円ということになってしまったのです。

「もっと早くこの存在に気付いていたら、こんなに減ることもなかったのに……しかも、そんなことも関係なく余計な相続税まで納めることになるなんて……」

Aさんは亡き夫に今さらながら不満をぶつけるしかありませんでした。

これらは、暗号資産や金(ゴールド)などのネットサービスでも同じことが言えます。保有していた暗号資産や金が、相続発生時から大きく値下がりすることがあれば、その発見が遅れれば遅れるほど、傷口(損)が広がることになりかねません。これは相続税がかかる・かからないは関係ありません。

最近では、相続発生前後にかかわらず、このようなデジタル遺産に関する相談・依頼も増えてきました。

「家に何もモノが残っておらず、どこに何があるのかまったく見当がつかない」
 「デジタル遺産について、生前にどんな対策をするべき?」
――など内容はさまざまです。

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