「ソニー・ホンダ」異なる文化から生まれたもの デザインの視点から見る異色コラボの結節点

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従来のやり方と異なっても、よりよいものを作れるのであれば、積極的に取り入れる。メンバーがフレキシビリティを持って臨んだことが、チームの求心力につながっていった。「すべての情報をオープンにし、メンバーが自分の専門領域を超えてフィードバックし合うことで、相乗効果が生まれました」と2人は言う。

2人の軽妙な会話から、互いに信用・尊重し合っている様子が伝わってきた(撮影:梅谷秀司)

従来の車作りとは違う作り方に

それぞれのチームのやり方にこだわることなく、「よりよいものを」という全体最適を探りながら、もの作りの工程も怒濤のようなスピードで進められた。経営層に向けての提案を行い、そこに修正が入り、改良してまた提案する。「打率で言うと、0.5とか1割程度という厳しさでした(笑)」と河野さんは話す。

「クルマの開発とは、長い期間を要するものであり、どの段階でマネジメントの決裁を仰ぐかについてのスケジュールがあらかじめ決まっていて、ある程度固まった段階でマネジメントの判断を仰ぐのですが、今回は途中で細かく決裁が入っていくという、まったく違う進め方でした。それが逆に、いい方向に働いたと感じています」

(撮影:梅谷秀司)

「デザイナーは、物事を立体的にとらえる能力が高いのに対し、マネジメントは、物事をコンテクストやストーリーでとらえる能力に長けています。結果的に目指しているところは同じでも、アプローチの仕方が違う。そこをつなぎながら進めていく仕事でした」(石井さん)

トップマネジメントとデザイン&ブランド戦略部の距離が近く、密接なやりとりがあったことが、有効に働いたのだろう。

生まれ出た「アフィーラ」は、どんな特徴を持っているのだろうか。ポイントは、「ブランド戦略」「プロダクトにまつわるデザイン」「UI/UXにまつわるデザイン」を“融合進化”させたところにある。

外観については、従来の「クルマらしいデザイン」のセオリーに必ずしものっとらず、「アフィーラらしさ」を表現することに注力した。筆者の目から見て、いかにもクルマという複雑な曲面美や、いかついマッチョな感覚が廃され、凛としたエレガントな佇まいが印象に残る。これも、業界の枠を越えた協業によって実現したものなのだろう。

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