天井知らずのマンション価格、その理由とは—— 誰が、何のために買っているのか?その実情は

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地方タワマンは、その地域で販売されている他のマンションよりも分譲価格が高い傾向にあるため、高齢者層は割安な低層部を購入するケースが多いようです。彼らにとっては見慣れた景観を楽しむというより、都市中心部に住む利便性を重視しているのです。

多拠点居住や地域の名士であることの象徴として

第2は、首都圏や近畿圏に住む人たちです。最近、2拠点居住および多拠点居住を実践する人たちが増えています。ただ、戸建て住宅は家の管理が大変なので、地方タワマンを買い、週末居住やリモートワークに活用しているのです。

大都市圏のマンションに比べれば価格は割安なため、数年後に売却して利益を得ようと考える目論見もあります。彼らはある程度見晴らしが良ければ、マンションを起点としてエリア全体を楽しみたいので、手頃な価格の中層部を買い求める傾向があります。 

また中層部には、地元で生まれ育ち、主に第3次産業の職を得た人が東京や大阪に転出することなく、親とは同居せずに利便性の高いマンションを選んで居住しているケースもあります。

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第3は、上層部を購入する地元の有力者です。地方タワマンの物件案内を見ると、上層部は部屋が広めに作られているケースが多いのです。

名前が挙がるのはいずれも地元出身で、その地方を代表する会社のオーナーたちです。昔から商売を取り仕切り、政治にも口を出す。地域の政治・経済の中枢を占め、よそから来て商売をするには、彼らの承諾がなければ販路を開くことができないような存在です。私は、彼らを「地方豪族」と呼んでいます。彼らが買う目的は、ずばり「天下を取る」ことです。その地域で自分が一番稼いでいる、あるいは地域のナンバーワンや名士であることの象徴として、タワマン最上階を買い求めるのです。

次回は、マンションを販売する側、すなわちデベロッパーの事情からマンション高騰の理由を探っていきます。

牧野 知弘 不動産事業プロデューサー

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まきの ともひろ / Tomohiro Makino

1959年生まれ。東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループなどを経て三井不動産に勤務。J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て独立。現在はオラガ総研代表取締役としてホテルなどの不動産プロデュース業を展開。また全国渡り鳥生活倶楽部株式会社を設立。代表取締役を兼務。著書に『不動産の未来』『負動産地獄』『空き家問題』『2030年の東京』(河合雅司氏との共著)など。

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