「おじさんドラマ」すっかり定着の底知れぬ魅力 ベテラン俳優が好演、世間の"おじさん観"も変化?

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このように、一口に「おじさんドラマ」と言っても、年齢や性格などおじさんの人物設定にはだいぶ幅がある。もちろん『VRおじさんの初恋』や『おいハンサム!!2』に出てくるおじさんも、これらとはまた違う。

だがだからこそ、それだけ主人公をおじさんにすることが特殊なことではなくなっているのがよくわかる。少し大げさかもしれないが、「おじさんドラマ」はひとつのジャンルになりつつあるような印象さえある。

「おじさんドラマ」を定着させたテレビ東京

こうした傾向は、いつ頃からのものなのだろうか? 

2つのドラマに思い当たる。ひとつは『孤独のグルメ』、もうひとつは『バイプレイヤーズ』だ。

『孤独のグルメ』については、改めて説明の必要もないだろう。2012年にスタート。松重豊が演じる主人公・井之頭五郎が、毎回仕事で訪れた街でお腹が空き、食事をする。ただそれだけのドラマだ。

出演者も松重以外は少なく、ほとんど井之頭五郎がひとりで食べる場面だけ。深夜の放送ということもあったが、松重がいかにも美味しそうに食べる姿が「飯テロ」と人気になり、シリーズ化された。

松重豊はこのとき48歳。連続ドラマの主演は初めてだった。それまでは渋い脇役として知る人ぞ知る存在だったが、この『孤独のグルメ』で一気にブレークした。その後は、主役も脇役も演じられる俳優として貴重な存在になっている。

その松重豊も主演のひとりだったのが、『バイプレイヤーズ』というドラマシリーズだ。

こちらは、いまのドラマ界に欠かせない名脇役たちが本人役で出演。たとえば、第1シリーズでは、遠藤憲一、大杉漣、田口トモロヲ、寺島進、松重豊、光石研の6人が主演した。このときは、この6人が大作映画で共演することになり、シェアハウスで共同生活を送るという物語だった。

一種のバックステージものでスケジュールの変更などに振り回されるおじさん俳優たちの姿がなんとも愛おしい。そしてなによりも、脇役としては知られた俳優たちが一堂に会し主役を務めるという企画の大胆さが際立つ。2017年の第1シリーズが好評を博し、結局第3シリーズまで制作された。

この2作品に共通するのは、制作がテレビ東京という点。

テレビ東京と言えば、他の民放キー局ができないようなニッチな企画を番組にして成功させることで定評がある。その意味では、ドラマのなかのニッチな分野だった「おじさんドラマ」についても貢献度は高い。

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