中国企業の「欧州名門爆買い」が苦戦するワケ 財力だけではブランドを征服できない

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2014年の年次中国富豪リスト、Hurunウェルスレポートによると、中国には100万人以上の百万長者と6万7000人の資産1億万元 (1600万ドル) 以上の大富豪がいる。

しかし高級ヨットの販売数は依然として低い。2011年のイタリア貿易委員会の調査によると、ヨットを所有しているのは100万ドル以上の金融資産を持つ中国人のうち0.3%程度のみだ。

問題はある程度は文化的なものだ。欧州の富裕層のヨットオーナーにとって、優美なモーターヨットは太陽を浴びながら家族とのんびり過ごす地中海での休日を連想させるものだ。

裕福な中国人は日光を避ける。また中国の海岸線は南欧やタイのような魅力に欠ける。またヨットは家族のおもちゃというよりビジネス資産と見なされている。

クライアントをヨットの旅へと連れ出すことも、習近平国家主席が企業の汚職取り締まりを強化させたことで、当局の詮索の対象となることを恐れる会社が増え、社会的に容認されづらくなっている。

「現在の中国国内のムードは目立つ消費とは無関係です」とヨット仲介業者であるBurgessのアジア担当会長Jean-Marc Poulletは語った。

これらの問題に取り組むため、フェレッティは中国南部、広東省の珠海に港を建設している。珠海では2018年までに現地市場向けの新モデル開発用の工場建設を計画している。

中国工場は、中国のぜいたく品への関税が43%に上るという別の問題を克服するのにも役立つはずだ。

フェレッティは香港上場を棚上げに

獲得に費やした3億7400万ユーロ (4億1900万ドル) のほかに、ウェイチャイはさらに8000万ユーロを増資によって投資した。そのほとんどは今後3年で27の新モデルを開発するために使われる。会社の7つのブランドにはRiva、Ferretti Yachts、 Pershing、Itamaが含まれる。

それにもかかわらずフェレッティはアジア太平洋地域の予測を全世界でのセールスの15%程度と当初の予想の半分まで引き下げ、また香港での上場の計画を棚上げした。またフェレッティは中国での販売隻数の開示を拒否した。

ウェイチャイによる所有が始まった当初、イタリアの造船所の一つを閉鎖するという方針に対し、現地の政治家と組合は反発。閉鎖計画は撤回された。そのため、今となってはフェレッティが中国の産業パートナーによって救われたという事実を歓迎している。

だがこの会社が賃金と税金の高いことで知られるイタリアでの操業を続けるためには、この再建がうまくいく必要がある。

「中国人が我々のノウハウを盗むかもしれないという心配は常にあります」と現地の労働組合リーダー Luigi Gioveは言う。「でも忘れてはならないのは、崩壊寸前だったグループにとって彼らが現れたことはターニングポイントだったということです」。

(1ドル = 6.2066人民元、1ドル = 0.8930ユーロで計算)

(執筆:Agnieszka Flak、Aradhana Aravindan、追加取材:香港のDeena Yao、編集 Alex Richardson、Lisa Jucca)

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