ヤマハ「XSR900GP」80年代レーサー再現に歓喜 往年の名車「YZR500」オマージュした真相とは

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

車体まわりでは、XSR900と同じく、独自のCF(コントロールド・フィリング)アルミダイキャスト技術を用いたメインフレームを採用。もっとも薄い部分の肉厚が1.7mmというこのフレームは、直進安定性と操縦性を両立させるために、縦・横・ねじり剛性のバランスを最適化。軽快なハンドリングと扱いやすさに貢献する。また、YZR500に採用したデルタボックスというタイプのフレームをオマージュし、アルミ地を模したシルバー塗装を施すなど、細部にこだわった仕上がりとなっている。

XSR900GPのリアビュー
XSR900GPのリアビュー(筆者撮影)

加えて、新型では、リアフレームを新作とするなどで車体剛性をチューニング。専用開発の前後サスペンションは、調整幅を増やすとともに、サーキット走行などの高荷重にも対応する仕様となっている。

ほかにも、クラッチ操作やアクセルの操作なしでシフトチェンジを可能とする「クイックシフター」もアップとダウンの両方に対応するなど、レトロなスタイルながら最新の装備が満載だ。

カラーリングは、赤×白のシルキーホワイトのほか、パステルダークグレーも設定
カラーリングは、赤×白のシルキーホワイトのほか、パステルダークグレーも設定(写真:ヤマハ発動機)

なお、カラーバリエーションは、赤×白カラーの「シルキーホワイト」と、「パステルダークグレー」の2色で展開。価格(税込み)は143万円だ。

なぜ1980年代のレーシングマシンなのか

以上がXSR900GPの概要だが、なぜヤマハは、1980年代のレーシングマシンをオマージュしたモデルを出したのか。あくまで私見だが、おそらく、当時を知る筆者をはじめとする長年のバイクファンにとって、当時のYZR500が特別なマシンのひとつだからだろう。そうしたファンへアピールするために、XSR900のフルカウル版を出したことがうかがえる。

XSR900GPの元ネタ、1980年代前半から後半にかけてのYZR500は、前述のとおり、レース・ブーム全盛期といえる時代に活躍したマシンだ。しかも、キングの異名を持つケニー・ロバーツを筆頭に、エディ・ローソン、ウェイン・レイニーといった世界的スターライダーが続々と登場し、ヤマハのマシンで勝ちまくった。いずれも、WGPの最高峰500ccクラスで年間チャンピオンを数多く獲得し、日本だけでなく、世界のバイクファンが熱狂したのだ。

次ページ1980年代のスタイルを徹底的に押し出したヤマハの戦略
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事