南海電鉄の路線は、関西空港方面の特急「ラピート」や和歌山市方面の「サザン」が走る南海本線と、高野線が2本柱だ。路線としての高野線の起点駅は大阪方の汐見橋だが、高野山方面への列車は難波を発着。基本的に列車の運行は、市街地を走る難波―橋本間と山岳部の橋本―極楽橋間に分かれており、こうやと一部の急行が全線を直通する。
30000系のように平坦部の高速運転、山岳部の急勾配・急曲線のどちらにも対応できる車両は伝統的に「ズームカー」と呼ばれる。
りんかん・こうやは1999年にデビューした31000系(4両編成1本)とともに担当する。りんかんに関しては1992年登場の11000系(同)も活躍する。30000系は1999年に、11000系・31000系と併結運転ができるよう改造された。いずれも白地に赤帯の車体色で、南海本線のラピートやサザンが青系のカラーを用いているのとは対照的なイメージのデザインだ。
高野線の山岳区間
高野線の特急の途中停車駅は新今宮、天下茶屋、堺東、金剛、河内長野、林間田園都市、橋本。河内長野は近鉄長野線、橋本はJR和歌山線が乗り入れる。りんかんは高野線が紀ノ川を渡る手前の橋本が終着駅となる。
こうやは橋本から先、真田昌幸・信繁(幸村)親子ゆかりの九度山を過ぎ、標高535mの極楽橋まで距離19.8kmの単線区間を上っていく。途中停車駅はないが、行き違いのための運転停車が設定されている。同区間には22000系ズームカーを改造した観光列車「天空」も走っている。
終点の極楽橋駅では、ケーブルカー(鋼索線)に乗り換えて高野山に向かう乗客が大半だ。こうやの行き先表示も「高野山」の文字が大きく、「極楽橋」は控えめ。鋼索線の終点、標高867mの高野山駅の駅前からは、専用道路を通って金剛峯寺・奥の院方面へ向かうバスが出ている。
空海が開いた真言密教の聖地、高野山を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」は2024年で世界遺産登録20周年。とくに最近は日本の伝統や文化財に関心が高い外国人観光客の姿が目立っている。
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