個別指導塾でブラックバイトが横行するワケ

苛烈な勤務体系に学生講師が悲鳴を上げる

たとえば、大学4年生のBさんは就職内定先のインターンに参加したり、卒業論文を書いたりするため、バイトを辞めたいと申し出た。すると「責任感ないの?」「そんなんじゃ社会人としてやっていけない」とまくし立てられた。

さらに悪質なケースになると、雇用契約書に「遅刻した授業の給与は無給」「後任者が決まる前に退職すれば、損害賠償を請求する」、と記していた塾もある。東京法律事務所の井上幸夫弁護士によると、この記載は労働基準法16条(賠償予定の禁止)に抵触する可能性が高いという。

ユニオンや厚労省が動いた

明光ネットワークジャパンが展開する「明光義塾」

こうした事態を受け、6月4日、バイト塾講師の大学生とブラックバイトユニオンが中心となり、「個別指導塾ユニオン」を結成した。

同日、「明光義塾」を展開する明光ネットワークジャパンと、そのフランチャイジーであるワールドオーエー、さらに「代々木個別指導学院」を運営する日本教育協会の3社に対し、団体交渉を申し入れた。今後も同様の活動を進め、計10社程度と交渉していく構えである。

日本教育協会が運営する「代々木個別指導学院」

彼らが特に問題視しているのは、授業単位で給与を支払う「コマ給」という給与体系だ。個別指導塾ユニオンの坂倉昇平氏は「コマ給は賃金を安く固定しているようなもの。そのうえで仕事量を増やし、責任を負わせ、辞めにくい環境を作り出している。塾バイトのブラックさを象徴する制度だ」と指摘する。

事態を重く見た厚生労働省は3月27日、全国学習塾協会など7つの業界団体に、「労働時間の適正な把握、賃金の適正な支払等について」という要請文を出した。「教育産業への監督指導件数は、製造業よりも少ないが、問題の質がよくない」(労働基準局)。

ユニオンから申し入れを受けた3社は「団体交渉まで意見は差し控えたい」としたうえで、「真摯に対応し、改善すべきは改善する」(明光ネットワークジャパン)と弁明した。

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