加速する事務機再編"三つどもえ"の最終戦争 儲かる斜陽事業「温存」に向けた連携拡大は必至

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縮小

一方のコニカミノルタは事務機などオフィス関連が売上高の過半を占めており、依然として屋台骨である。

市場が縮小する中、競合同士がしのぎを削って疲弊しては元も子もない。過去には経済産業省が、国内企業同士のシェア争いに懸念を表明したことがあった。優位性がある事務機分野で競争力を失うことになれば国益が損なわれる、という危機感があったためだ。

各社における事務機の売上比率が決して低くないことが、再編の難しさに繋がってきた。しかし縮小市場を前に、ここにきて合従連衡が動き出した格好だ。

中途半端な提携では効果が薄い

とはいえ現状の連携では不十分との見方もある。

「複合機ビジネスは機器の販売だけでなく、消耗品や保守サービス提供による収益が大きい。ビジネス全体に占めるハードウェア/消耗品製造コストの比率が限定的であることを考えると、ベンダー協業の範囲が将来的にもハードウェアや消耗品のみに留まるのであれば、その効果は限定的なものとなるだろう」

こう指摘するのは、オフィス・事務機事情に詳しいIDC Japanの石田英次Data & Analyticsプログラムディレクター。これまでに発表された協業・業務提携はいずれも生産に関わる領域を対象としている。しかし事務機ビジネスのうまみは、機器販売よりもそれに付随するサービスや課金システムにあり、ペーパーレス化が直撃するのもこの領域だ。

ビジネスにかかる費用も、保守点検などの人件費が重い。現状、大手メーカーは複合機の保守点検網をITサービスの販売やサポートに生かす方針を採るが、そのための人材投資やIT商品の開発が避けられない。業界の「儲けの仕組み」に鑑みれば、より踏み込んだ協業に踏み切る企業が現れる可能性もある。

縮小市場とはいえ、優秀なビジネスモデルは不変。“攻め”の事業転換に向けた資金を創出するうえで、事務機事業をうまく“温存”する手法は不可欠。合従連衡の深化と加速は避けられそうにない。

吉野 月華 東洋経済 記者

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よしの・つきか / Tsukika Yoshino

精密業界を担当。大学では地理学を専攻し、微地形について研究。大学院ではミャンマーに留学し、土地収用について研究。広島出身のさそり座。夕陽と星空が好き。

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