加速する事務機再編"三つどもえ"の最終戦争 儲かる斜陽事業「温存」に向けた連携拡大は必至
しかし、事務機市場にはペーパーレス化の逆風が吹いている。スマートフォン、タブレットなどの端末やクラウドサービスの普及により、紙での出力機会が減っているからだ。在宅勤務の定着によるオフィスへの事務機設置台数の見直しも打撃となっている。
日系メーカーによる事務機の出荷金額は、2015年を境に減少に転じている。過去2年間は、新型コロナの流行に付随する半導体など部材不足や物流混乱で出荷が減った2020~21年の反動増があった。しかし特殊要因がなくなる2024年以降は、再び過去の縮小均衡状態に戻ると予測される。
逆風を前に事務機各社は、事務機以外の事業を拡大したり、効率化を図るための人員整理を行うなどの対策を進めてきた。
事務機への依存度を抑えてきたが
リコーは2017年から事務機の拡大路線を見直し、ITサービスの販売を強化する方針を明確にした。従来は全社売上高に占める事務機関連の比率が6割を超えていたが、2022年度は事務機関連が4割まで減少、並んでITサービスが4割強を占めるまでになった。
富士フイルムでは、グループ売上高に占める富士フイルムBIの割合は2023年度で3割弱。2021年に日立製作所の画像診断関連事業を買収して規模を拡大させた医療機器や、増産投資や買収で規模を拡大している半導体材料などが成長柱だ。キヤノンはプリンティング事業が売上高の過半ながら、オフィス複合機関連が全体の2割超となっている。
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