新潟市がiPadを使った「教育DX」成功できた理由 iPad導入で空いた時間を授業準備に充てられる

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教育全体をどうするか? 視座を高めるとともに、どうすれば実現できるか、現場と行政、双方の論理で理解することが、教育DXへの早道だった。これが、新潟市におけるDX成功から得られる学びではないだろうか。

変化に合わせて成長し続ける環境が作れるか?

新潟市では、全授業でのデジタル活用がすでに大前提となっており、連絡帳やプリントの配布もiPad。欠席の連絡も電話からメールに変わり、朝、教員が電話番をする必要なく、授業の準備に励むことができるようになっていた。

ipad
新たにアップルが追加した共同編集ホワイトボードアプリ「フリーボード」も早速授業に取り入れられていた(筆者撮影)

教員は、ツールの使い方の研修を年間10回以上行いながらスキルを高め、授業の方法を研究し、外部からの視察も積極的に受け入れながら、工夫を凝らした授業を市内の学校間・教員間で共有している。

どれも、iPadを導入して空いた時間を使って実現しているのだ。

裏を返せば、デジタル化に成功していない自治体の学校では、デジタル化はおろか、教育の質向上のための原資となる時間がないという事態に陥ることになる。

池田氏はこれからの展望について、次のように述べた。

「情報活用能力は、その時々で変わり続ける。目の前の課題を、ツールと知識と仲間で解決していく喜び、楽しさ、そしてそれを自覚することが、自信につながり、変わり続けられる、作り続けられる力になると思います」(池田氏)

現段階で非常に理想的な、デジタルを生かした教育の姿を作り出した新潟市。その変化と未来に期待が高まるとともに、DXの行方、教育の行方の面でも、注目したい。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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