「ケンタとローチケ」炎上したアプリ改悪の共通点 企業と消費者のコミュニケーションが遮断された

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筆者は数カ月前まで「KFC店舗から徒歩5分」に住んでいたので、旧アプリの使い勝手は、それなりに理解しているつもりだ。まだ新アプリを店頭で使ったことはないが、ちょっと触っただけでも、大きく利便性が損なわれていることはわかる。

突然の仕様変更で、愛着すら消えてしまう危険性

そして、そのうえで感じるのは、これは「単なるアプリの改悪」にとどまらないのではないかという懸念だ。今まで築いてきた、企業と消費者のコミュニケーションや信頼関係が、今回の件をもって崩れ去ってしまったのではないかと感じるのだ。

実店舗やデリバリーでの商品提供のみならず、その注文過程も「購買体験」の一環となる。KFCアプリには、以前より購入頻度に応じたマイレージプログラムが用意されているが、これもまたユーザーの愛着を増す施策と言えるだろう。

ゆえに、突然の仕様変更によって、愛着すら消えてしまう危険性がある。これはKFCのみならず、実店舗とECなどを両面展開し、その結節点にスマートフォンを位置づけている企業であれば、さほど珍しい話ではない。

そして、ここが筆者の考える、KFCアプリとローチケアプリの相違点だ。やや辛辣な表現になってしまうかもしれないが、数あるチケットアプリのなかで、ローチケに思い入れを抱いている人は多くないだろう。アーティストや贔屓のスポーツチームのチケットがお目当てなわけで、アプリは目的ではないからだ。今回のような騒動があっても、「じゃあ他のアプリを使おう」と、サラッと鞍替えする可能性が高い。

しかし、KFCアプリは違う。ケンタのチキンやカーネルクリスピーをお得に食べたいから消費者は、KFCアプリをダウンロードしている。そのコミュニケーションが、改悪によって遮断されてしまったのだ。

ところで、筆者はドラッグストア「ココカラファイン」を愛用しているのだが、マツモトキヨシとの経営統合から数年たち、ついに先日、「マツキヨココカラ」の新アプリへと切り替えてくれとアナウンスされた。こちらはKFCと違って、旧アプリと新アプリが別に用意されているが、それはそれで別途インストール&アンインストールの手間がかかる。新居の最寄りは「サンドラッグ」だから、この機会に、そちらへ浮気しようかなと考え中だ。

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