北陸新幹線「敦賀駅」、在来線乗り換え時の憂鬱 いつまで続く?開業のめでたさも中くらい
金沢から敦賀までは在来線特急時代は1時間20分前後だったのが、新幹線では各駅停車の「つるぎ」でも1時間を切るまで縮まった。速達列車は41分で走る。越前たけふまでは平野部が主だから眺めもよいはずだが、新しい新幹線のつねで鬱陶しい防音壁がしばしば遮る。
小松、加賀温泉、芦原温泉があっと言う間に過ぎ、福井に着く。内陸に入って北陸自動車道が現れると越前たけふ。武生市街地は村国山を挟んで離れているが、高架上から見る駅前の田園の真ん中に四角い造成地ができていた。
越前たけふ―敦賀間はトンネル部分を除いてスプリンクラーが設置されており、冬は貯雪型の区間と異なる光景になるはずだ。ふと視線を正面の車端に移すと、QRコードから敦賀駅乗り換え方法を動画で見られること、運行情報も入手できることの案内がスクロールしている。発車後の自動放送でも停車駅や到着時刻は告げず、「JRおでかけネット、またはJR西日本アプリWESTERからご確認いただけます」と案内していた。そういう時代になった。
ほどなく新北陸トンネルに入り、中で3分経過した頃に敦賀到着の案内が流れてきた。まずは自動放送が北陸線・小浜線・ハピラインふくい、そして「サンダーバード」と「しらさぎ」への乗り換えを告げる。追って車掌の放送が流れ、「京都・新大阪方面の特急サンダーバード22号大阪行きは13時14分、33番のりば、米原方面の特急しらさぎ8号名古屋行きは13時10分、34番のりばから発車します。サンダーバード号にお乗り換えのお客様は青色のライン、しらさぎ号はオレンジ色のラインに沿って……」と知らせる。
敦賀駅では乗り換えを短時間で完結させるため、開業前の1月、JR西日本社員やグループ会社の関係者約1000人を集めてリアルのシミュレーションを行い、その結果を顧みて乗換改札口から床に色分けした誘導線を引いている。「しらさぎ」は停車位置を変更し、階段の混雑集中を緩和した。
どうする大荷物を抱いたエスカレータ駆け下り
大阪・米原方面から北陸新幹線へは「しらさぎ」「サンダーバード」の順で到着して「サンダーバード」が最短8分の接続となり、特急の途中停車駅の関係で多少の幅も生じるが、逆の北陸新幹線から在来線特急へは「しらさぎ」が先の接続で、こちらは標準的に8分である。「しらさぎ」接続がないパターンでは「サンダーバード」が8分接続になる。
定時であっても初体験の8分乗り換えは気が急く。足早の流れに必死でついて行こうとするお年寄りや、杖をついた人の姿も、1人や2人ではない。右空きのエスカレータを靴音を響かせ下りてゆく人もいる。幼児を抱っこしたお母さんの、畳んだベビーカーが右に少しはみ出している。乗換改札で手間取ったのか、少し遅れた旅行者が大荷物を抱いてエスカレータを駆け下りる場面にも遭遇した。
今回の新幹線延伸に合わせて在来線特急の「サンダーバード」と「しらさぎ」は全車指定席とされた。敦賀駅での新幹線から特急への乗り継ぎは3階から2階コンコース、そして1階へと、上から下への流れである。したがって「サンダーバード」と「しらさぎ」に自由席があったなら、大勢が我先に駆け下りることになっただろう。自由席をなくすはずだ。
そして、万が一に長いエスカレータを駆け下りる人が踏み外したら、ふとした弾みで大荷物が手を離れたら……とにもかくにも、まずはエスカレータの右空けと駆け下りを強制的に阻止しなければならない。ハンドマイクで呼びかけたり、自動音声を流すだけでは効果はないと思う。
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