【産業天気図・証券(ネット専業)】投資家層の拡大でネット系は「晴れ」
2006年度も、ネット専業証券の成長は続くと予想される。05年度のような大手全社そろっての業容急拡大が再現されるかどうかは、日本株の相場次第の面は否めない。ただ、ここに来て各社とも新規顧客獲得のピッチを一段と早めており、1年前、半年前と比較しても収益基盤は確実に強化されている。新規公開株の引受やデリバティブ、投信、外債販売など株式委託手数料以外の収益源多様化に向けた各社の取り組みも、実を結び始めてきた。日本株が大きく崩れない限り、06年度もネット専業大手が最高益を連続更新する公算は大きい。
注目は利益トップの松井証券<8628.東証>。これまで手数料引き下げ競争には一線を画してきた同社だが、4月をメドに値下げを含めた7年ぶりの大幅な料率改定を打ち出し、シェア復活へののろしを上げた。料率改定を発表した1月以来、狙いどおり新規顧客の流入ペースは加速しており、利ザヤの縮小傾向は顧客数の増加で吸収できそうだ。イー・トレード証券<8701.ジャスダック>、マネックス証券を傘下に抱えるマネックス・ビーンズ・ホールディングス<8698.東証>は、05年度の勢いを引き継いで、松井証券とどこまで利益の差を詰められるかが課題となる。06年度の大穴はカブドットコム証券<8703.東証>。三菱東京系のMeネット証券とこの1月に合併し、統合新銀行のネット専業証券との位置づけが明確になった。ネット証券仲介や広告・宣伝の本格化のほかグループ各社との連携策を相次いで打ち出す方向で、本邦最大の金融グループの顧客基盤活用が順調に進めば、規模の面でも上位3社の強力なライバルへと飛躍する可能性もある。
【水落隆博記者】
(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部
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